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自分が必要とする物を自分で作り、賄い、蓄える ことを自給自足言いますが、こ |
の熟語は勿論皆様良くご承知の通りです。では「自足の思想」とは何のことでしょう |
か? |
この言葉は、料理研究家の土井善晴さんが、新潮文庫に収められている著書「一汁 |
一菜でよいという提案」の中で述べられている、以下のような絶妙な文章を読まれた |
解剖学者で趣味の昆虫の分野でも多くの話題を提供されている養老孟司さんが、新潮 |
社から最近出された著作「人生の壁」(新潮新書、2024年11月20日初版刊行)の中で |
参照されたその文章に対して冠せられた言葉です。土井さんの文章は、「暮らしにお |
いて大切なことは、自分自身の心の置き場、心地良い場所に帰ってくる生活のリズム |
を作ることだと思います。その柱となるのが食事です。」と綴られています。 |
養老さんは、ご自分で冠せられた「自足の思想」のことを次のようにご自分の著作 |
「人間の壁」の中で説明しておられます。「つまり、自分自身が幸せな状態をつくる |
のが一番であり、大切なことであるという考え方です。政治や社会に関する大きなテ |
ーマを考えるにしても、個人のレベルで基本にすべきことは、この考え方ではないで |
しょうか。自分にとって居心地のいい状態を知っておくのはとても大切です。これを |
誰もができているとは限らない。自分自身の限界とも関係するため、見極めるのが難 |
しいのです。」 |
*筆者注:自足とは「自分で必要を満たすことのできる」という意味で、英語で言 |
うなら“Self-sufficient”となるのでしょうか。 |
筆者は養老先生の著書は殆ど読ませていただいていますが、「xxの壁」シリーズ |
の中でもこの「人生の壁」のこの件(クダリ)が一番好きです。勿論この通りできる |
ことは理想でしょうが、自分がそれまでにどれだけ努力し、精進したかでその実現は |
決まることでしょう。目標が大きくてもしっかりしていることは大切なことだと思い |
ます。 |
ご自分の考え方を専門の分野の例でうまく表現される土井先生の展開方法も素晴ら |
しいと思いますが、その文章に共鳴・共感されて、それを礎にご自分の考えをしっか |
りとしたテーマに描いて表される養老先生の心意気には、それ以上の感激と読書の醍 |
醐味を感じないでは済まされない気持ちです。 |
いずれにしても、今回は紹介のみに留めさせてもらいます。 |
了 |
2025年6月18日(水) 記 |
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3) 「〜界隈」 |
筆者には界隈とはある特定の地域や業界の近所・周辺を言うときに使われる |
ものと理解していましたが、ある物を中心にしてその周辺とか、それに似た物 |
とか、その物を好きな人達、即ち愛好者や仲間をも含めるようで、理解できな |
いような使われ方、例えば「自然界隈」、「アニメ界隈」、「風呂キャンセル |
界隈(旅館に着いて風呂に入るのは止めて、先ず飲みに行こうとするグループ |
を指して言うようです)」があるようです。 |
関連して、筆者の記憶ではグループの呼び方に時代の変遷があると幾つかの |
本や雑誌で読んだ覚えがあります。即ち昭和ではxx族(例えば、竹の子族) |
と呼び、平成ではxx系に変化し、令和に入ってこのわけの分からないxx界 |
隈が流行っていると言うのです。筆者もこの観察は正しいのではないかと思い |
ます。 |
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3.日本語がすっかり変わってしまった |
何か別のテーマの際、ちょっと書いたように思いますが、日本には言葉のアカデミー |
というか、国の監督機関がありません。他の先進諸国には、新しい言葉やその言葉の |
及ぶ範囲をあらかじめ軽く規定していますので、特に外来語に対してどのような訳語 |
を当てるかを一般国民にまで知らせているのですが、残念ながらわが国にはそのよう |
なアカデミーもなく、近年特に外来語がそのままカタカナで発音通りに置き換えられ |
て使われたり、二つ、三つの言葉から成るものは、その頭文字だけを取って並べる例 |
えばIMF(International Moneytary Fund 国際通貨基金)のようなやり方が大流行で、 |
デジタル技術の浸透と共に、更にホームページ、Myページ、ライフプラン、コールセ |
ンター、タブレット、確認サービス、ログインパスワード、ダウンロード、オンライ |
ンサービス、QRコード、バンキングアプリ等々枚挙にいとまがないくらいたくさんの |
言葉が特に誰の許可も制限もなく使われており、まだ辞書にも登場していない言葉も |
少なくないと思われます。この有様では関係する業界や製品に馴染みのある人なら兎 |
も角、直接関係のない人々や既に仕事から遠退いて久しい高齢の人々には何のことや |
らさっぱり分からず困っている方々がさぞかし多いことかと推察されます。 |
言葉それ自体独り歩きする性格のものですが、もう少し範囲を決めるなり、用例を |
統一するなり、一定の規則があっても良いのではないかと考えるのです。改めて言葉 |
のアカデミーを持つことを提案したいと思います。 |
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2025年上期の芥川賞、直木賞は審査員の激論の末、該当作なしと異例の展開となり |
ました。候補作4点は、いずれも意欲的でしたが、「文学史に残る可能性」や「独創 |
性」「深み」がもう一歩足りなかったと評価されました。妥協を許さない、業界に配 |
慮しない厳しい評価のようです。 |
以前、佐藤 雅寿さんが紹介された、河田博士の銀華文学賞の小説を思い出しWEB |
検索したところ、文芸思潮WEB版でバックナンバーとして公開していました。内容は、 |
1954年(昭和29年)日本航海計器の若き技術者の体験談です。 |
ある日、業務で捕鯨船のオートパイロットの改修作業で造船所に出張しました。改 |
修後、予定にない海上試験に立ち会うことになり出航しました。洋上に出ると天候が |
急変し、荒れ狂う洋上で過酷な体験をすることになり、生死をさまような苦しい状況 |
が続きました・・・。審査員から小説の展開と結末が絶賛されています。 |
“荒るる海”は文語的、古典表現で、現代語では“荒れる海”と書くそうです。細 |
部にわたり技術的裏付けがあり関係者にしか理解出来ないか、と思わせる内容ですが、 |
文学の専門家からも高く評価される強烈な“何か”があるようです。銀華文学賞は芥 |
川賞などのプロ作家の登竜門や格付けではなく、熟年シニア層の文学創作意欲を推進 |
する奨励機能を目的にしているようです。主人公の内面や人間関係の機微を丁寧に掘 |
り下げる作品が評価されやすいそうです。 |
私は、何を意図しているか分からない高度に難解な文学より。人それぞれ異なると |
思いますが、自分のこころに響く小説の方が感動します。「荒るる海」は価値ある名 |
作と確信しました。 |
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若いと思っていましたが、私も80歳の大台になりました。そして数年前から段々耳 |
が遠くなり、大勢での会話やテレビの音声が聞こえなくなりました。 |
そろそろ補聴器を買わなくてはいけないかなと思い始めていました。しかし、何十 |
万円もする補聴器を作ったが耳に合わないで使っていないという話をよく耳にします。 |
私の妻も昔高価な補聴器を作りましたが、装着していません。 |
2月に私が80歳になった時に子供が誕生日祝いをしてくれ、その時にプレゼントし |
てくれたのが、「Air Pods Pro」というApple社製のイヤホンでした。 |
「最近耳が遠くってなかなか話がうまく通じないので、使ってみたら」と子供に言わ |
れました。そしてこのAir Pods Proという補聴器をつけてみたら、今までの難聴の状 |
態が大きく改善したのです。このAir Pods Proは何もしないで耳につけても何も改善 |
されません。前もって操作が必要です。 |
iPhoneとAir Pods Pro をblue toothで接続して、イヤホンを耳に装着してiPhoneに |
入力されたAir Pods Proを使用するためのソフトをblue toothから起動します。する |
とガイドが出てきますので、それに従って進めます。これは聴力検査をして、自分の |
聴力に合わせる調整です。 |
私は両耳とも中程度の難聴という結果でした。これを付けたら今まで音量25でも聞 |
こえなかったテレビが15でもはっきり聞こえるようになりました。また会議などで聞 |
こえなかった会話が普通に聞こえるようになりました。補聴器を作ろうかどうか悩ん |
でいましたが、高い買い物をしなくて済みました。 |
高い補聴器を買って、使い難いといって使用していなかった妻にもAirPods Proを購 |
入しましたが、補聴器よりも快適のようで、普段持ち歩いています。 |
私は自分では購入していませんが、アップルに店で娘は36,000円で購入したようです。 |
聴力検査ではスマホのiPhoneを使いますが、調整後はiPhoneがなくても補聴器として |
機能します。以下がセットするときの概略の手順です。 |
(1)Air Pods Proを購入する |
(2)iPhoneとblue toothで接続する。(スマホの「設定」からblue toothに進む) |
(3)イヤホンを耳に装着する |
(4)blue toothと接続したら表示されているblue toothのメニューに表示されている |
「Air Pods Pro」を起動する(Air Pods Proと表示されている右にある〇i(〇の |
中にiが表示されている)をタップする) |
(5)「Appleのヒアリングチェックを受ける」をタップする。 |
以降表示される手順に従って進むと自分の聴力をチェックし、耳に装着した補聴器 |
(イヤホン)を自分の聴力に合わせてくれる。 |
その後分かったことですが、Air Pods ProはiPhoneとしかblue toothで接続できな |
いようですが、最近類似品が出ていますので、スマホがiPhoneではない方はそちらを |
調べてみてください。 |
これで終わりです。ぜひお試しください。耳寄りなお話しでした。 |
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2.自分のことは本人が一番分かっていると思うことが過ちの元 |
〜自信と自己中心主義の振る舞いとの混同は避けよう〜 |
日頃の生活の中で、良く周囲の人から意見を言われたり、忠告を受けたりすると、 |
「余計なことを言うな!! 自分ことは俺が一番よく知っている!」と反発して答え |
たり、もっと言葉を足して反論したりすることが多いかと思われますが、これが実は |
大きな間違いであり、過ちで、大きな解決の道を提案されたにも拘らず、考慮に入れ |
ることもせず、謙虚に一度自分の心の中に取り入れて判断、熟慮してみる機会を逸し |
てしまっていることに気付かずに済ませてしまっているのです。実際には、自分のこ |
とが分かっていない人が殆どいうか、むしろ当たり前なのです。自分の理想とするこ |
とと現実とのギャップがどのくらい差異があるのかが自分では理解できないからです。 |
この意味で、こういう場合に謙虚に耳を傾けられるか否かが、次の場面の大事なアク |
ションに繋げて行くために大変必要なことだと思うのです。もう少し極端に言うなら、 |
むしろ逆に友人や周囲の人々で、自分のことをよく理解してくれている人々の意見、 |
忠告、提案、諭しの中に、最も大切な核心を突くものが潜んでいると斟酌してみるこ |
とが重要でしょう。 |
仕事上でも、家庭での例えば子供の教育や将来の構想に悩みや迷いがあれば、専門 |
の第三者や親しい友人にそれとなく相談し、意見を求めるでしょうが、それはその人 |
の意見を拝聴して、自分の考え方の正否はおろか正しく自分なりに納得のいく結論を |
出したいからでしょう。何はともあれ、相手の言い分を聞きたいのです。 |
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3.真摯に耳を傾けよう、そして自分をアップデイトさせよう |
このように、特に自分の最終判断の上には、周りの人の意見や主張に真摯に耳を傾 |
けることがなくてはならない重要な段階であり、聞くことが大事になってきます。さ |
らに付け加えるなら、いつも同じ人の意見ばかりを頼りにすのではなく、出来れば複 |
数の異なる環境の人々の意見を聞くことが必要でしょう。特に企業・団体には特有の、 |
そして固有のミッションやビジョンがあり、自分がそこに属しているときには、それ |
と自分の考えていることとに齟齬がないことも求められる大事なことと言えるでしょ |
う。 |
これら企業・団体のビジョン、ミッションは常にアップデートされていますので、 |
その構成員たる個人もまた「何をしなければならないのか?」、「どう改善したり、 |
重厚にしたりすることが必要であり、望まれることか?」を自分の心にしっかり持ち、 |
毎日の生活の態度としてシンクロナイズできるよう、アップデートしておく必要があ |
ります。周囲の意見が十分に収集、聴取できて、帰属している母体や社会と同じベク |
トルで進める態勢になっていることが求められるでしょう。 |
極端に言うなら、昨日までの自分と今日からの自分は同じではなく、正しく前進で |
きていなくてはならないでしょう。自分のしっかりした間違いのない、正しい結論に |
基づいた努力と反省がシンクロナイズされたポジション・セッティングとマインド・ |
コントロールを生み出すものとして要求されるでしょう。 |
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2.自己流の食事法が裏打ち(エンドース)された?、 |
フランスジュリアーノさんの名著に出会って |
そこで、今回はフランスの栄養管理と食事評論で著名なミエイュ・ジュリアーノ |
(Mireille Guiliano)氏が全世界で300万部を売り上げた名著“FRENCH WOMAN |
DONT GET FAT”(日本語に直訳すれば、「フランス女性は太らない」でしょうか) |
に書かれている説を紹介し、筆者の1日3回の食事管理法を自己流と承知の上であえ |
て力説主張したく今回の一文としました。 |
ジュリアーノさんのこの著作は日本で羽田詩津子氏が翻訳されて「フランス人はな |
ぜ好きなものを食べて太らないのか」という書名で、日経ビジネス人文庫の一冊とし |
て2024年12月に第1刷が出版されている。筆者が読んだのは今年の初めでした。同書 |
の第7章「液体の利点」の中のサブ・タイトル「少量のワインは健康によい」の記述 |
の中に筆者が根拠としたい文章を見付けたので以下紹介してみたい。 |
上記参照しました羽田さんの訳文をそのまま転記しています。 |
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“ワインにはカロリーがある。栄養素がある。香りがある。 |
アルコール飲料としての潜在能力は、フランス人の考えでは |
(あるいは飲むときには)あまり重視されない。たいていのフ |
ランス人はワインを聖なる贈り物だから、むだにせずに楽しむ |
べきだと考えているのだ。フランスの詩人ボードレールは、人 |
間の作り出したものからワインが消えたら、人間の健康と知性 |
に大きな穴が空いてしまう。そして、その人は罪悪感を覚える |
あらゆる不摂生よりも始末に悪い、と言っている。ワインは五 |
感を自覚させるために飲むものである。そしてそれは食べ物を |
楽しむためにはきわめて重要なことである。” |
さらに、同氏は続けて以下のように綴っている。 |
“毎日少量ずつ、常に食物といっしょに飲めば、ワインは健 |
康にも役立つ。なお、フランス女性は、カクテルのようにシャ |
ルドネのワインだけをちびちびすすっているのは実は奇妙だと |
考えている。ワインの完全な味は、しかるべき食べ物と組み合 |
わされた時に初めて発揮されるのだ。たいていのアルコール飲 |
料よりもカロリーが少ないだけでなく、上等なワインは栄養素 |
に富み、血液をサラサラにして、血圧を下げ、悪玉コレステロ |
ールを減らす効用がある。心から楽しめるばかりか、そういう |
効能のあるものが他にあるだろうか?” |
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1.はじめに |
到頭自分も米寿の当日を迎えることになってしまいました。もう少し満足できる形 |
で迎えたかったこの日に筆者が何をしていると思われるでしょうか。驚くなかれと言 |
うべきか、お笑い下さいと言うべきか、スマホ教室に通い始めて19と20時間目に当た |
る時間を費やしていたのです。 |
この話をして何人かの友人、知人は全く私らしいと一見感心しながらも、なぜ今更 |
そのような無謀なアプローチができるのかと一種の蔑みを第一印象として持ったよう |
でした。正直言って「今更何故?」は正しい反応でしょう。実際にスマホが正しく利 |
用できるか否かに拘わらず、片足、いやもう両足を棺桶に突っ込んでいる歳でスマホ |
を使いこなすことなど到底望めないにも拘らず、トライするという向こう見ずのやり |
方に呆れ、私自身正直な思いとして、その冒険心にも似た無鉄砲さに開いた口が塞が |
らない思いの方々が多いことであろうと理解しています。 |
| | | |
2.では、何故この期に及んでスマホなどと? |
ずっと使い続けてきた3台目のパソコンが昨年9月末に動かなくなって、自分の歳 |
を考えて、さらに新機種を入れるか否かを悩んでいたところ、ガラ系を最後に携帯電 |
話も持っていなかったために、気が付けばコミュニケーションの手段が定置電話のみ |
となってしまい、不便で仕方ありませんでした。そこで、まだ暫くは生き延びられる |
であろうと仮定して、もう一度だけPCとスマホの両方を調達することに決めたのでし |
た。 |
でも、スマホを入手したはいいが、複雑すぎて何が何やら思うに任せず、仕方なく |
教室に通うことになった次第です。結果として、スマホ本体の価格は驚くほどではな |
かったのですが、教室の受講料や教材費を足すと何倍かに膨れ上がってしまい、収入 |
のない今のわが身には過ぎた試みであったと一時反省の毎日でした。 |
更にびっくりしたことには、新しく入手したノート型パソコンに電源を入れて最初 |
に現れる画面が以前のパソコンとは全く違った、どちらかと言えばスマホに共通のマ |
ーク、記号表示でした。スマホ教室に通っていて少しでも画面に表示されている諸々 |
のマーク、記号、言葉に慣れていて良かった!!と、しみじみ思ったことでした。暫 |
く接していない間にかくも大きな変化が起こっており、ある種の恐ろしさと進歩のス |
ピードに驚きを禁じ得ませんでした。 |
| | | |
3.今迄できていたことができなくなった不便 |
スマホやパソコンを持っていなくともできていたことが、最近になってできなくな |
って不便を感じることが多くなってきました。従来郵送や電話で確認したり、情報交 |
換をしていたことが、一方的な通告により、ある日を境にしてできなくなり、それら |
の行為はスマホ、パソコン或いはQRの読み取りによってのみ可能ということが多くな |
ってしまいました。例えば、毎月その前月にクレジットカードを使って買い物をした |
り、支払いをした金額が指定の銀行口座から引き落とされる前に貰えていた計算書や |
通知書が自動的には貰うことができなくなり、対価や手数料を支払うことを事前に約 |
束した場合のみ以前と同様の計算書や通知書を入手することができるといったやり方 |
に変わったことなどです。また、クレジットカードを使って電話で買い物をすること |
も、デパートや大手の商店では出なくなって、ついつい面倒くさくなり止めてしまう |
ことが多くなってきました。 |
卑近な一例を申し上げるなら、2025年4月からオンラインショッピングで従来から |
持っているメンバーシップのカードを使おうとするなら、その前に本人の認証サービ |
ス(3Dセキュア)の設定が必要となったことです。特に、クレジットカードの不正 |
利用による事件の発生が最近の4年でそれまでの倍にもなっているそうで、その防止 |
策として考えられたことのようですが、まず本人はおろか万一カードが家族も使える |
ようになっているなら、関係する全員のカードのWeb会員登録を先ずしなければなりま |
せん。高齢アナログ人間には、直ぐに「あゝ、そうですか!ハイ!」とアクションに |
は移せないのです。 |
日本が世界の国々に比較してデジタル化が遅れていますので、それを取り戻すため |
に、いろいろ作業を進めることが必要ですが、今までデジタル製品を扱い慣れていな |
い、或いは人によっては一度も手にしたこともない高齢者はどうすればよいのでしょ |
うか。一足跳びに従来のマニュアルやアナログのシステムからデジタルのシステムに |
移行するのではなく、軟着陸の移行期間を設けて、慣れるまでの猶予期間を事前に通 |
告の上作って欲しいと願いたいのです。 |
蛇足ながら、良い機会なので一言付け加えさせてもらえるなら、最近の作家先生方、 |
特に男性の作家さんには理科系出身の方々が多いためか、スマホやパソコン、その他 |
デジタル機器が小説の中でも大きな役割を演じているように思われます。あながち筆 |
者の偏った思いでもなかろうかと思いますが・・・・。 |
| | | |
1.はじめに |
本日、3月7日の誕生日で筆者も到頭米寿を迎えることとなってしまった。これま |
での人生を振り返ってしみじみ人生には良い思い出、誇れる思い出の数々が如何に大 |
切かを思い出させてくれる。何故なら人生で一番大切な仕事は自分の人生を飾る「思 |
い出作り」だと思うからである。その人がどういう人生を送ったかを振り返るときに |
は、その人が毎日、毎週、毎月、毎年どういう経験を積み重ね、自分を形成し、住ん |
だ地域社会、在籍した学校、企業や団体に有形・無形の寄与・貢献を成し、その人に |
しか成し得なかった一生に一度の経験を見れば、自然にその姿が偲ばれると思うから |
である。 |
これらの思い出や経験を成すに当たっては幾つかの重要な要素が絡んでくると思わ |
れるが、それらの中でも最も大きなウエイトを占めるものは筆者は自分の人生を顧み |
て、好奇心であり、その有無とその大小ではなかろうかと思う。特に幼・少年期の好 |
奇心は、その人のその後の人生を形作る基本的な、一番大事なファクターであると言 |
っても過言ではあるまいと思う。 |
我々の住むこの地球の生い立ちや今後の発展、更には宇宙への進出等を考えてみて |
も、関係する諸科学は尽きることのない多くの人々の好奇心と共に発展し続けること |
だろうから、先ずは個々人の考えが如何に効果的に結び付いて、大きな学術的な力に |
まで発展できるかの勝負だろうと思う。 |
| | | |
2.好奇心と計画性 |
以下述べることは筆者独自のまったく異例の事になるかも知れないが、好奇心が湧 |
くと何等かのアクションをしようとして短期或いは長期の差はあっても、何等かの好 |
奇心の実現の仕方、極め方を模索して幾つかの道筋や方法論を見付けようとしてきた。 |
あまりよい例ではないが、筆者が学校に上がる前、昭和16,17(1941,42)年頃は |
いわゆる第2次世界大戦の最中で、一般家庭用に使える防腐剤、殺虫剤など乏しく、 |
庭木には毒毛虫が湧くように発生していた。その中にマツケムシ(松毛虫)と呼んで |
いた首筋に首輪のような青紫色の帯を持った毛虫がおり、その毛先に触れようものな |
らボツボツの赤い斑点が出来て、腫れて大騒ぎになっていた。そのとき、筆者は何故 |
か毎日割箸で枝葉の毛虫を摘み取り、缶詰の空き缶の中に入れて平たい石を重しにし |
て殺すのがお手伝いの一仕事であった。以来どういう訳か昆虫に興味と関心が向き、 |
小学校6年生で東京に戻るまで福井県の父の郷里の山里に4年間疎開していたが、そ |
の間あらゆる昆虫を手にし、標本に作り、自然との親しみを満喫したのであった。興 |
味は昆虫だけでなく自然に他の動植物にも及び、家畜や野獣等の多くの動物、鳥、魚、 |
食べられる山の木の実等々を含め山野草に至るまでの名前を覚えることができた。お |
陰で以後高校、大学を通じ、課外活動として生物部や生物研究会に所属し、リーダー |
として活動することになってしまった。この自分史を顧みて、好奇心がしばしば計画 |
性を伴うものだと思わずにはいられなかった。 |
この事の発端になったことは、高校に入学して通学に片道1時間以上も費やす時間 |
が勿体なく思い、一念発起して卒業までの3年間に当時発行されていた岩波書店と新 |
潮社の世界と日本の文学の文庫本全冊の読破を計画し、2〜3日で1冊を読み上げる |
スピードで3年を待たずに制覇し、余った時間をクラスメートの親が趣味で持ってお |
られた改造社のA5版くらいのクロス表装の世界文学全集を週に2〜3冊借りてそれら |
も全冊読了してしまった。また、自分としても文章を綴りたくなり、機会ある毎にペ |
ンや鉛筆を走らせている自分を見付けることができるようになった。以来文学に親し |
み、文章や語彙に関心が向いて、方言や外来語、漢詩に至るまであらゆる文章や書物 |
を乱読して今日に至っている。 |
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(1)英語特に英会話の勉強 |
第一はこれからの世の中では海外との付き合いが否応なく必要になるであろうか |
ら、外国語に精通することが要求され、少なくとも一般的な共通語として英語に堪 |
能にならなければならないだろうから、中学に入ったら直ぐに始めようと思い立っ |
た。当時戦争直後のことでもあり、進駐軍と共に日本に大勢押しかけてきたキリス |
ト教会の宣教師・牧師が布教のためにたくさんの英語・英会話教室を開いていた。 |
筆者も新制中学2期生として入学と同時に、電車通学で京浜急行の青物横丁下車で、 |
付近の町田学園の中に設けられていた「大井英会話学院」に週2日だったか3日だ |
ったか夜学通いを始めた。同時に海外の同年輩の人々と手紙の交換がしたくてペン |
フレンドクラブのメンバーにもなって細々と手紙の交換も始めた。返事が来て、し |
かも珍しい切手を送ってもらったりしようものなら大はしゃぎをしたのをいまだ昨 |
日のことのように鮮やかに覚えている。朧気だった情景が、徐々に脳内で鮮明にな |
ってくる。 |
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(2)水彩画の先生に師事して水彩画を習う |
次に始めたのが本格的な水彩画を窮めるために、中学1年の春から画家に師事し |
て高校2年生まで続けたことだった。これも高齢になってから手慰みの技の一つも |
持ち合わせていないようでは仕事を辞めた後で急に趣味や習い事を始めても物には |
ならないであろうし、健康その他いろいろ問題も起きてくるであろうからスムーズ |
に事が運べるとは思えないので、仕事を始める前にその準備入門をスタートさせて |
おこうというのが計画だった。当時は絵描きも自分の絵を売って生計を立てられる |
ような状態にはなく、新制中学校に新しく生まれた図工科の臨時代用教諭として奉 |
職して生活費の一助にされており、師を見付けるには格好のタイミングでもあり、 |
筆者も幸いだった。お陰で定年退職後幾つかの団体に所属して絵画制作に勤しむ傍 |
ら個展も10回以上持つことができた。 |
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(3)背を伸ばし体力を付けるために和弓の道場に通う |
三番目に始めたことは和弓の道場通いであった。筆者は頭でっかちの背の低い奇 |
形児に近かった。実際都立高校に入った時、初日に校庭で並び順を決めるときに悲 |
惨な事実を目のあたりにすることになってしまった。男子系の高校であったので、 |
同学年の新入男子生徒は300名であったが、背の低い者が前に送り出されていくと、 |
なんと筆者がもう自分より低い者が誰もいない、つまり一番背の低い人になってし |
まったのだった。その時の身長はなんと、151.8cmであった。以来3年卒業までに |
毎月1cm以上伸び続け、卒業時には174.7cmにまで伸びて背の高いグループにな |
っていた。この結果は正直大変愉快であった。 和弓を引くことによって胸を広げ、 |
背を伸ばそうと試みたのであったが、残念ながら中学在学時には叶わなかった。道 |
場での修業は厳しく、お寺の坊主の修行のように初めは明け暮れ道場の掃除に追わ |
れたが、一年も待たずに対外試合に出るまでになり、皇居の道場でも引くことがで |
きたのは今思い出しても楽しい思い出である。 |
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1.はじめに |
2023年3月米国の女子高生ネキャ・ジャクソンとカルセヤ・ジョンソンが驚くべき |
成果をジョージャ州アトランタで開催された米国数学会の地域会議に発表した。 |
その内容は、“三角関数を用いたピタゴラスの定理の証明”だった。 |
周知のように、図1に示す直角三角形の3辺a,b,c の間に成立する次式: |
a^2+b^2=c^2 , (1) |
がピタゴラスの定理であり、我国では三平方の定理と呼 |
図1 |
んでいる。 |
このピタゴラスの定理は、BC500年頃から知られてお |
り、現在まで多数の数学者により実に100通り以上の証 |
明がなされているが、これらのほとんどが幾何学または |
代数学を使用しており、三角関数によるものは知られて |
いない。これは三角関数に関する定理にピタゴラスの定 |
理に立脚したものがあり、「循環法」に陥る恐れがある |
からだと思われる。本レポートで紹介する証明は、三角関数と無限等比級数を使用して |
いるが、ピタゴラスの定理と無縁な定理だけを使用しておるので循環の恐れがない。こ |
れを明確にする目的で、本レポートで使用する全ての定理を証明し、Appendixに記載し |
て置く。 |
[注記]:文章中の数式表記 |
|
| | | |
3.証 明 |
図2に正弦定理(A1参照)を適用し、次式: |
2a/sin2α=c/sinβ, (図2参照), (2) |
を得る。上式中のsinβは、定義により次式: |
sinβ=b/c, (図2参照) (3) |
なので、これを(2)に代入して下式を得る。 |
2a/sin2α = c/(b/c) |
∴ sin2α=2ab/c^2, (4) |
次に、図3を使用する前にこの図がもつ性質を明らかにしておく。 |
三角形△1,△2,△3,・・・の内角が△ABCのそれと等しいので |
・△ABC,△AB'C,△1,△2,△3,・・・が互いに相似である。 〈1〉 |
また、α+β+90°=180°∴α+β=90°なので |
・大きな三角形ABDの角(ABD)=90° である。 〈2〉 |
三角形ABDで〈2〉が成立するので、sin2αは次式: |
sin2α=BD/AD, (∵sin2αの定義), (5) |
で与えられる。 |
次に、小さい三角形△1,△2,△3,・・・の各辺を〈1〉を利用して求める: |
BC' /BB' =c/b, ∴ BC’=2c(a/b), ∵ BB’=2a, (6) |
B'C'/BB' =a/b, ∴ B'C'=2a(a/b), ∵ 同上, (7) |
B'B''/B'C'=c/b, ∴ B'B''=2c(a/b)^2, ∵ (7), (8) |
B''C'/B'C'=a/b, ∴ B''C'=2a(a/b)^2, ∵ (7), (9) |
C'C''/B''C'=c/b, ∴ C'C''=2c(a/b)^3, ∵ (9), (10) |
B''C''/B''C'=a/b, ∴ B''C''=2a(a/b)^3, ∵ (9), (11) |
以上より、大きい三角形の一辺BDは、次式で計算される。 |
BD=BC'+C'C''+C''C'''+・・・, (図3参照) |
=2c(a/b)+2c(a/b)^3+2c(a/b)^5+・・・, (12) |
BD=2c(a/b){1/(1-(a/b)^2)} (∵等比数列の和の公式[A3参照]による) |
=2abc/(b^2-a^2), (∵ 0<(a/b)^2<1 ), (13) |
大きい三角形の他の一辺ADは、次式で表される。 |
AD=AB'+B'B''+B''B'''+・・・, (図3参照) |
=c+2c(a/b)^2+2c(a/b)^4+・・・ |
=c+2c(a/b)^2{1/(1-(a/b)^2)}, (∵ (a/b)^2<1 ) |
={(b^2+a^2)/(b^2-a^2)}c, (14) |
(13)と(14)を(5)に代入し、次式を得る。 |
sin2α={2abc/(b^2-a^2)}/{((b^2+a^2)/(b^2-a^2))c} |
=2ab/(a^2+b^2) , (15) |
この(15)と(4)より次式を得る。 |
2ab/c^2 = 2ab/(a^2+b^2) =sin2α, (16) |
故に、ピタゴラスの定理: |
a^2+b^2=c^2 (17) |
が得られる。 <証明完了> |