話 題 『 よもやま話 』最新 2017年1月〜2017年4月
 
          話  題  一  覧
2017. 4.26 桜散っても、花盛り!2017年版:その3     投稿;小田 茂
2017. 4.22 桜散っても、花盛り!2017年版:その2     投稿;小田 茂
2017. 4.18 桜散っても、花盛り!2017年版:その1     投稿;小田 茂
2017. 4.12 “GRIT”に因む今流行の著作2篇        投稿:清水有道
2017. 3.29 急激な変化が予感される生活環境の中、日本は世界をリードできる国に変われるだろうか  投稿:清水有道
2017. 3.14 またまた出現した新たな新書          投稿:清水有道
2017. 2.26 わが水彩画個展への蛇足            投稿:清水有道
2017. 2.12 大好きないかにも日本語らしい美しい響きの言葉 投稿:清水有道
2017. 1.22 「フィンテック」とはなにか?        投稿;清水有道
2017. 1. 8 シンギュラリティ(『技術的失業』)は果たして何時来る? 投稿;清水有道
 

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          話  題  『 よもやま話 』  
 
2017. 4.26 小田 桜散っても、花盛り!2017年版: その3
 
 桜散っても、花盛り!2017年版: その3 横浜市  小田 茂  
 
  今年は桜も満開、「全国都市緑化よこはまフェア」開催で花!花!花!
 
             ≪はじめに≫
 今回(最終回)は、3会場で企業・団体が各テーマに挑戦し、「コンテスト対象作
品」として力作が多数展示されました。賞は「金賞」・「銀賞」・「銅賞」の3段階
で、「金賞」の中から「特別賞」が贈られていました。
 展示作品数が多くどれもこれも見事なものでしたが、私のカメラに収まったものの
中から適宜選択して紹介いたしましたのでご了承ください。
 
          ≪汽車道≫(4月10日) 
 JR桜木町駅前から新港地区(海側)を結ぶ「汽車道」 汽車道と桜_1
汽車道と桜_1
を歩きます。ここは明治44年(1911年)開通した旧横浜
駅と新港埠頭を結ぶ臨港線の廃線跡を利用したもので、
平成9年(1997年)に開通しました。路面に当時のレー
ルの一部が残されています。
 好天に恵まれ、春爛漫を一手に引き受けているような
ルンルン気分でした。汽車道が終わると「運河パーク」 
会場です。  
 
汽車道と桜_2
汽車道と桜_2
汽車道と桜_3
汽車道と桜_3
汽車道と桜_4
汽車道と桜_4
 
      ≪運河パーク≫会場:〜都市生活を彩る庭〜
 「アーバンライフガ−デ 花時計
花時計
茶室(銀賞)
茶室(銀賞)
ン」をテーマにしたもので
す。
 右端の「茶室」からが今
回の「コンテスト対象作品」
です。
 
 
 
フラワーロックフロート(銅賞)
フラワーロックフロート(銅賞)
薫風(くんぷう)(銅賞)
薫風(くんぷう)(銅賞)
グリーンシアターボックス(金賞)
グリーンシアターボックス(金賞)
 
    ≪新港中央広場≫会場:〜草木が織りなす開放的な庭〜
 「運河パーク」会場から3分程で「新港中央広場」会場に到着しました。
≪新港中央広場≫会場では、「ナチュラルガーデン」をテーマにしたものです。
コンテスト対象外ですが大学出展も3コマありました。
LaLaLa Land(金賞)
LaLaLa Land(金賞)
コッツウォルズに暮らす(銀賞)
コッツウォルズに暮らす(銀賞)
爽涼の庭(銀賞)
爽涼の庭(銀賞)
 
自然からのおくりもの(金賞)★コンサルタンツ協会長賞
自然からのおくりもの(金賞)★コンサルタンツ協会長賞
風のとおり道(銅賞)
風のとおり道(銅賞)
しあわせを運ぶフラワーケーキ:フェリス女学院大学エコキャンパ研究会
しあわせを運ぶフラワーケーキ:フェリス女学院大学エコキャンパ研究会
 「赤レンガ倉庫」に到着した時、運よく汽笛と共に横浜港を母港としている「飛鳥
U(あすかツー)」の出港に出会いました。5万トン級の客船、傍で見ると本当に豪
華でした。「飛鳥U」の前歴はバハマ籍の「クリスタル ハーモニー」です。
飛鳥U_1
飛鳥U_1
飛鳥U_2
飛鳥U_2
飛鳥U_3
飛鳥U_3
 
    ≪象の鼻パーク≫会場:〜訪れた方をお出迎えする庭〜
 「赤レンガ倉庫」から橋を渡れば「象の鼻パーク」です。当会場では2ヵ所に分か
れて「コンテスト対象作品」 ガーデンベアの庭_1
ガーデンベアの庭_1
ガーデンベアの庭_2
ガーデンベアの庭_2
が数多く展示されていまし
た。また、シンボルガーデ
ンの「ガーデンベアの庭」
は大変素晴らしく、いろい
ろな角度から紹介いたしま
すのでお楽しみください。
 
 
ガーデンベアの庭_3
ガーデンベアの庭_3
ガーデンベアの庭_4
ガーデンベアの庭_4
ガーデンベアの庭_5
ガーデンベアの庭_5
 
ガーデンベアの庭_6
ガーデンベアの庭_6
ガーデンベアの庭_7
ガーデンベアの庭_7
休憩所内のマンモス?
休憩所内のマンモス?
 休憩室では「マンモス?」に出会いました。芝生には平成9年の横浜港開港150周
年記念のマスコットキャラクター「たねまる」の記念碑と象などの「トピアリー」3
点が会場を和ましておりました。 
「たねまる」君
「たねまる」君
トピアリー_1
トピアリー_1
トピアリー_2
トピアリー_2
 
    「もてなしの庭」をテーマにした庭園の作品:盛り沢山!
臨海山居
臨海山居 迎波亭(金賞)★都市緑化機構会長賞
海返の丘・ガーデン(銀賞)
海返の丘・ガーデン(銀賞)
高梨庭園の庭(金賞)★神奈川県議会議長賞
高梨庭園の庭(金賞)★神奈川県議会議長賞
 
浜ガーデン〜湘南スタイル〜(金賞)
浜ガーデン〜湘南スタイル〜(金賞)
未来への懸け橋(金賞)★横浜市長賞
未来への懸け橋(金賞)★横浜市長賞
ベイサイドにたたずむ里山の憩い(銀賞)
ベイサイドにたたずむ里山の憩い(銀賞)
 
ヨコハマの庭(銀賞)
ヨコハマの庭(銀賞)
日本のこころ〜庵のある庭〜(金賞)神奈川県知事賞
日本のこころ〜庵のある庭〜(金賞)神奈川県知事賞
〜横浜港へと導いた橙色の輝くランドマーク〜(銀賞)
〜横浜港へと導いた橙色の輝くランドマーク〜(銀賞)
 
自然との調和「一滴の水から」(金賞)★日本造園建設協会会長賞
自然との調和「一滴の水から」(金賞)★日本造園建設協会会長賞
融和する街
融和する街 横浜(金賞)★横浜市会議長賞
横浜に暮らす(金賞)★国土交通大臣賞
横浜に暮らす(金賞)★国土交通大臣賞
 
レッドクリフ(銅賞)
レッドクリフ(銅賞)
大きな樫の木が見守る和モダンの庭(金賞)
大きな樫の木が見守る和モダンの庭(金賞)
ポポラスのさんぽみち〜仲間と集う庭(銅賞)
ポポラスのさんぽみち〜仲間と集う庭(銅賞)
 
              ≪おわりに≫
 「桜散っても 花盛り!」を掲載しましてから今年で6年目となりました。今年は
「その1」でも述べたように、「横浜公園チューリップ祭り」と「桜前線満開」が同
一時期に重なったのは初めてであり、しかも3月25日から始まった「第33回 全国都
市緑化よこはまフェア」とも連携イベントという形で、正にお花天国で「桜も満開
よこはまフェアも加わり 花! 花! 花!」の横浜です。
 「・・・よこはまフェア」は6月4日まで開催されます。草花の入れ替え、手入れ
など業者の方は入念に行っておられます。5月に入ってからはお花畑の方は、桜、チ
ューリップ、その他球根類から「ばら」に主役が変わります。「ばら」は「港の見え
る丘公園」、「山下公園」、「日本大通り」の3会場が目玉です。「ばら」の最盛期
の情報をできればお届けしたいと思っております。
 皆様もゴールデンウイークをはじめ6月4日までの間に、有り余っている時間?の 
一部を「全国都市緑化よこはまフェア」の「みなとガーデン」にお出かけの時間に使
われたら如何ですか!また、健脚の方は「里山ガーデン」(よこはま動物園ズーラシ
アに隣接)の方にもお出かけください。
 
2017. 4.22 小田 桜散っても、花盛り!2017年版: その2
 
 桜散っても、花盛り!2017年版: その2 横浜市  小田 茂  
 
  今年は桜も満開、「全国都市緑化よこはまフェア」開催で花!花!花!
 
【日本大通り】会場(4月10日)
 「日本大通り」会場は、JR根岸線:関内駅南口を出ると目の前は「横浜市庁舎」
で、バス通りを挟んで向かい側が「横浜公園(隣接して横浜スタジアム)」で、この
横浜公園の裏側に直結した形で「日本大通り」があり、神奈川県庁、横浜港大さん橋
方向への幅広い正に「大通り」です。
 ★日本大通りフラワーフェスタ    フラワーフェスタ_1
フラワーフェスタ_1
 日本大通りが横浜らしいオシャレな通りに大変身です。
 4月中はチューリップを中心の「華麗なる春の饗宴」
5月上旬頃からは「華麗なるバラの競演」となるそうで
す。また、同時に6つのカラーをテーマにした「カラー
ガーデン」が通りを彩っていました。
 
 
 
フラワーフェスタ_2
フラワーフェスタ_2
フラワーフェスタ_3
フラワーフェスタ_3
フラワーフェスタ_4
フラワーフェスタ_4
 
フラワーフェスタ_5
フラワーフェスタ_5
フラワーフェスタ_6
フラワーフェスタ_6
フラワーフェスタ_7
フラワーフェスタ_7
 ★カラーガーデン
ピンクをテーマのガーデン
ピンクをテーマのガーデン
ポールクレーの絵画がテーマ
ポールクレーの絵画がテーマ
白い草花の庭園をイメージ
白い草花の庭園をイメージ
 
地中海をイメージ
地中海をイメージ
紫をテーマ
紫をテーマ
自然のお花畑をイメージ
自然のお花畑をイメージ
 ★自治体出展花壇「日本花通り」
「コンテナから溢れだす 「キングの塔」のフラワーアート:神奈川県
「キングの塔」のフラワーアート:神奈川県
神奈川県庁
神奈川県庁
 各地の街並み、風景花壇」
をテーマに、全国18自治体
の花壇が日本大通りに彩を
添えています。代表作を掲
載します。
 
 
 
躍動する台地:札幌市
躍動する台地:札幌市
杜の都
杜の都 仙台の春:仙台市
私の好きな見沼たんぼ:さいたま市
私の好きな見沼たんぼ:さいたま市
 
井伊直虎ゆかりの地
井伊直虎ゆかりの地 浜松:浜松市
しずおかの薫り:静岡県
しずおかの薫り:静岡県
新潟の「食文化
新潟の「食文化 彩発見」:新潟市
 
大阪城「花の陣!」:大阪市
大阪城「花の陣!」:大阪市
花と緑と音楽のおもてなし広島:広島市
花と緑と音楽のおもてなし広島:広島市
交流する人。歴史・文化:福岡市
交流する人。歴史・文化:福岡市
【山下公園】会場 (4月10日)
ガーデンベア_1
ガーデンベア_1
ガーデンベア_2
ガーデンベア_2
 「日本大通り」のはずれ
「神奈川県庁」前から「横
浜大さん橋」方面へ10分ほ
どで「山下公園」に到着し
ます。
 左の写真はシンボルキャ
ラクターの「ガーデンベア
立体花壇」で観光客の皆さ
んが氷川丸をバックに記念撮影していました。女の子、大変お気に入りのようです!!
チューリップと氷川丸_1
チューリップと氷川丸_1
チューリップと氷川丸_2
チューリップと氷川丸_2
チューリップと氷川丸_3
チューリップと氷川丸_3
 
チューリップと氷川丸_4
チューリップと氷川丸_4
落ちないようにね!
落ちないようにね!
ご主人を見守るイケメン犬
ご主人を見守るイケメン犬
 
 ★山下公園の歴史写真展 歴史写真_1
歴史写真_1
歴史写真_2
歴史写真_2
 「山下公園」は、大正
12年(1923年)の関東大震
災の復興事業の一つとして
瓦礫や焦土を埋め立てて造
成され、日本で最初の臨海
公園として昭和5年(1930
年)に開園しました。
 
歴史写真_3
歴史写真_3
歴史写真_4
歴史写真_4
歴史写真_5
歴史写真_5
 
歴史写真_6
歴史写真_6
歴史写真_7
歴史写真_7
歴史写真_8
歴史写真_8
 
「水の守護神」と「花」
「水の守護神」と「花」
バラは5月上旬から_1
バラは5月上旬から_1
バラは5月上旬から_2
バラは5月上旬から_2
【港の見える丘公園】会場 (4月10日)
 「港の見える丘公園」は 会場看板
会場看板
展望台からの眺め
展望台からの眺め
「山下公園」からゆっくり
歩いて30分位かかります。
最寄り駅は地下鉄のみなと
みらい線「元町・中華街
駅」の元町口のエレベータ
で屋上に出ますと「アメリ
カ山公園」に出ますので、
ここから10分程度で「港の見える丘公園」に到着します。
 園内には「山手西洋館」の素晴らしくよくできたミニ模型が目を楽しませてくれま
した。
山手西洋館_1
山手西洋館_1
山手西洋館_2
山手西洋館_2
山手西洋館_3
山手西洋館_3
 
山手西洋館_4
山手西洋館_4
山手西洋館_5
山手西洋館_5
ガーデンベア花壇
ガーデンベア花壇
 ★イングリッシュローズの庭
花_1
花_1
花_2
花_2
 約150品種約1,200株の各
種バラが植えられています。     
時期がチョッと早く、5月
に入ってからボチボチ咲き
出すのではないでしょうか。  
 下段の写真は、それまで
頑張っている草花です。
噴水のある「香りの庭」で
は、バラが早いので除きますが香りの植物を集めた潮風感じる丘の上のガーデンです。
イングリッシュローズの庭_1
イングリッシュローズの庭_1
イングリッシュローズの庭_2
イングリッシュローズの庭_2
イングリッシュローズの庭_3
イングリッシュローズの庭_3
 
香りの庭_1
香りの庭_1
香りの庭_2
香りの庭_2
香りの庭_3
香りの庭_3
 
2017. 4.18 小田 桜散っても、花盛り!2017年版: その1
 
 桜散っても、花盛り!2017年版: その1 横浜市  小田 茂  
 
  今年は桜も満開、「全国都市緑化よこはまフェア」開催で花!花!花!
<はじめに>
 今、横浜では「第33回全国都市緑化よこはまフェア」が3月25日から6月4日まで
開催されています。
 会場は、市内の中区を中 全国都市緑化よこはまフェア看板
全国都市緑化よこはまフェア看板
本牧:桜道(3/9)
本牧:桜道(3/9)
心とした「みなとガーデン
(歴史と未来の横浜)」と
旭区の「里山ガーデン(緑
豊かな横浜)」が、よこは
ま動物園ズーラシアの隣接
地で開かれました。
 この事業との連携イベン
トという形で、毎年紹介して来ました「第39回よこはま花と緑にスプリング フェア
2017」(チューリップ祭り)が4月7日から9日の3日間横浜公園で開催されました。
 今年は昨年より1週間早くなり、タイトルとは異なり、「桜も満開、正に花盛りの
2017」となりました。盛り沢山の花だよりとなりましたので3回に分けてご紹介いた
しますが、「里山ガーデン」の方は足に自信が無いのでパスして、地元「みなとガー
デン」にしぼりましたのでご了承ください。
 
 横浜公園:チューリップ「第39回よこはま花と緑にスプリング フェア2017」
スプリング
スプリング フェア看板
 昨年11月に市民らが植えた69品種、16万本の多彩なチ 
ューリップが咲き誇っていました。人気投票のベスト8
を紹介いたします。
 イベントのシンボルとして、高さ4m、約2,000本のチ 
ューリップを使用したカラフルなチューリップタワー。
 横浜スタジアム前の噴水回りには、植物を使って選手
を立体的に表現したベイスターズガーデンも楽しめます。
  
 
1位:ハーブルプリンス
1位:ハーブルプリンス
2位:サーモンインプレッション
2位:サーモンインプレッション
3位:アメリカンドリーム
3位:アメリカンドリーム
 
4位:サニープリンス
4位:サニープリンス
5位:フォックストロット
5位:フォックストロット
6位:エスケープ
6位:エスケープ
 
7位:オーリアンズ
7位:オーリアンズ
8位:フラッシュポイント
8位:フラッシュポイント
選外代表?_1
選外代表?_1
 
選外代表?_2
選外代表?_2
チューリップ広場
チューリップ広場
チューリップタワー
チューリップタワー
 
            ≪花と緑の園芸館≫
 会場には「花と緑の園芸 正面入り口
正面入り口
川崎氏の作品
川崎氏の作品
館」が開設され、フラワー
アーティストの川崎景太氏
の作品展示をはじめ趣味の
会有志の見事な作品が数々
展示され来場者の目を楽し
ませてくれています。
 
 
作品_1
作品_1
作品_2
作品_2
作品_3
作品_3
 
作品_4
作品_4
作品_5
作品_5
作品_6
作品_6
 
 横浜公園会場 ≪街を彩る港からの贈り物≫ (隣接地:横浜スタジアム)   
 横浜公園会場は、チューリップ祭りの方がメインで、全国都市緑化の方は他の会場
横浜公園会場看板
横浜公園会場看板
ガーデンベアと共に
ガーデンベアと共に
に比べて規模は小さい。
 自治体出展の「日本花通 
り」コンテナ花壇22点のう
ち4点が当会場で展示され
ています。
 残りの18点は、「日本大
通り会場」で展示されてい
ます。(後日紹介)
 
鳥取県は元気です!:鳥取県
鳥取県は元気です!:鳥取県
みどりの丘の花絵巻:八王子市
みどりの丘の花絵巻:八王子市
海とみどりに恵まれた開国のまち「横須賀」:横須賀市
海とみどりに恵まれた開国のまち「横須賀」:横須賀市
 
谷戸の花壇:鎌倉市
谷戸の花壇:鎌倉市
日本庭園_1
日本庭園_1
日本庭園_2
日本庭園_2
 
       “春の珍事”・・・横浜DeNAベイスターズ編
ベイスターズ
ベイスターズ ガーデン_1
ベイスターズ
ベイスターズ ガーデン_2
 毎年この欄では、地元の
横浜DeNAベイスターズ
について触れていますが、
今年は違う角度からチョッ
ト“春の珍事”と言う形で
掲載します。
 
 今年の3月9日、オリックスとのオープン戦をテレビ放送が無いので、パソコンで
「スポーツナビプロ野球“一球速報”」を見ていました。 全員3割以上の強力打線!
全員3割以上の強力打線!
8回の表で8対1でDeNAが勝っていました。
テレビ画面に右写真のDeNAの打線が紹介されました。
驚いたことに9人全員が打率3割以上にビックリ!
急いで証拠写真との思いで撮影しました。(写真をクリ
ックして拡大してご覧ください)単純平均で4割9分3
厘です。主砲の筒香・ロペス・梶谷選手が入ったら、ど 
んなことになるんだろうかとルンルン気分満開でした。
 オープン戦前半は投打とも絶好調でしたが、後半急降下してしまい本番に入ってか
らも絶不調が投打とも続いています。4月15日現在で4勝8敗1分けで第5位であり
特に不振なのが、侍ジャパンで4番を任された昨年の本塁打・打点二冠王の筒香選手
が、13試合消化で本塁打ゼロ、打点1と開幕から超不振で“春の珍事”で終われば
良いが!とイライラしながらホームラン今季第1号を待っている今日この頃です。
 
2017. 4.12 清水 “GRIT”に因む今流行の著作2篇
 
“GRIT”に因む今流行の著作2篇 横浜市  清水 有道
 
1. プロローグ
 英語に多少の造詣のある人なら“grit”なる単語は滑り止めに道路に撒く砂利のこ
とだとか、線路わきの保線作業員が通れるように作られた砂利道だとか、と思い付か
れるのではないでしょうか。もう少し生物に造詣の深い方なら、鳥が消化を助けるた
めに常に砂嚢に保有している砂のことを言うとご存知の方もおられることでしょう。
特殊な政治領域で生活されている方なら、大文字で”GRIT”と綴ればカナダの自由党
員を指すとか、米国南部の人々が北部の人を指して言う言葉だという局地的な俗語の
知識を有する方もおられるかもしれません。
 “grit”という単語には、米国で使われている俗語も含めて、名詞だけで11の違っ
た意味、他動詞として3つの意味、慣用句としては次のようなものがある。
 “grit one’s teeth”は 
   1)歯ぎしりする
   2)(怒って、またはあることをなさんとして)歯を食いしばる、とか
 “put(a little)grit”と綴って
   1)円滑な進行を妨げる、とか
   2)水を差す、とかの意味になるが
 名詞の2番目に使われる例として、気概、気骨、根性、勇気、肝っ玉、ガッツが、
今注目を浴びている。
 “a man of the true grit”とは「まさしく根性のある人」を指す。ところが、元
からある単語に加えて、新しく次の4つの単語の頭文字をとって、“GRIT”を「やり
抜く力」と命名し、人間の成功をもたらす最重要ファクターとして祭り上げてしまっ
た。即ち、
 *Guts (度胸)
 *Resilience (復元力)
 *Initiative (自発性)
 *Tenacity (執念)  である。
 そして、いま米国を発生の地として、特に次の2著作が、全世界の政官財界から民
間企業、ハーバードやオックスフォードから数々のエリート学園、学術団体は云うに
及ばず、マッキンゼー等の能力開発を業とする事業団体に至るまで、最も最右翼の教
科書として重宝がられ、著作者は講演や研修会に引っ張りだこという。これらの2書
は、わが国でも既に数十万冊の売り上げを誇るベストセラーになっている。これら2
作とは、
(1)「Grit やり抜く力 ―The Power of Passion and Perseverance」   (2)「『GRIT』 平凡でも一流になれる『やり抜く力』」    リンダ・キャプラン・セイラー (Linda Kaplan Thaler),ロビン・コ ヴァル (Robin Koval)共
   アンジェラ・ダックワース (Anngela Duckworth)著、神崎朗子(かんざき 
   あきこ)訳 2016年9月8日 ダイヤモンド社刊と、
(2)「『GRIT』 平凡でも一流になれる『やり抜く力』」   
   リンダ・キャプラン・セイラー (Linda Kaplan Thaler),ロビン・コヴァル
  (Robin Koval)共著、三木俊哉訳 2016年11月15日 日経BP社刊
である。
 かつては「忍耐心」や GRIT
GRIT 平凡でも一流になれる
GRIT
GRIT 人生を変える最強・最速のメソッド
「何が何でもやり遂げる」
は日本人を表す代名詞でも
あったが、今では欧米でこ
の思想が人生を変える最強、
最速のメソッドであるとし
て持て囃されているのであ
る。このような状況に、筆
者は非常に歯がゆい思いを抱くと同時に、我ら日本人の得意とするお株を奪われて、
みすみす指を咥えて見ている訳には行かない気持ちになるのである。誠に間尺に合わ
ない。そこで、改めてこれら2書を表した研究者(偶然かもしれないが、3氏とも女
性で、しかも心理学専攻の学者である)の説くGRITの意義を以下紹介し、我々日本人
が過去に行ってきたことと何がどう違っているのか、何が新しい試みなのか、を筆者
なりに紐解いてみたいと思う。
2.「Grit やり抜く力」(ダイヤモンド社刊)から学べること
(1)著者が資料を集めるために接触した各界の多くの方々から貴重な反応と評価を
得ていること
 筆者が読み終えて要点を絞るとすれば、以下の5点になろうか。
 * どんな分野であれ、大きな成功を収めた人たちには、断固たる強い決意があり、
それが2つの形として表されている。
 第一に、このような模範となる人たちは、並外れて粘り強く、努力家であったこと。
 第二に、自分が何を求めているかをよく理解していたこと。決意だけでなく、方向
性も定まっていた。
 * 仕事への定着度を予測するに当たって、「外交性」、「情緒の安定」、「誠実性」
など、性格テストで調査したその他の特徴は、いずれも「やり抜く力」ほど的確な判
断材料にはならないことが分かった。
 * 偉業を成し遂げた人物には、3つの顕著な特徴がある。すなわち、稀有な「才能」      
と並外れた「熱意」と、「努力を維持する力」を併せ持っていることである。
 * 偉業を達成するための決定要因に関するダ―ウインの意見、すなわち、知的魅力
よりも熱意と努力の方がはるかに重要だという信念は、一考に値すのではないか。
 * 音楽家たちも、「生まれながらの才能」よりも「熱心に練習すること」の方が、
重要だと回答している。
(2)米国陸軍士官学校(ウエストポイント)の研究用に開発された「やり抜く力」
   を測る「グリット・スケール」
 以下の表の当てはまる箇所の数字にマルを付けていき、合計して10で割った数値が、
あなたのグリット・スコアとなる。
 

 

 
 表の1から10までの各文を読んで、自分に当てはまると思った数字(1〜5)にマ
ルを付ける。グリット・スコアを計算するには、10項目で自分がマルを付けた点数を
合計して、10で割る。最高スコアは5(やり抜く力が極めて強い)で、最低スコアは
1(やり抜く力が極めて弱い)となる。
 「やり抜く力」は「情熱」と「粘り強さ」の2つの要素でできている。「情熱」の
スコアを出すには10項目の質問のうち、奇数の質問の回答だけを集計し、合計点を5
で割ればよい。 同様に「粘り強さ」のスコアだけを求めるには偶数項目の5つを集
計し、5で割ればよい。「情熱」のスコアが高い人は、「粘り強さ」のスコアも高い
はずで、逆もまたしかりである。通常米国での実験経験値では、「粘り強さ」のスコ
アの方が、「情熱」のスコアを上回るという。このことから多くの人々に共通するパ
ターンは、「情熱」と「粘り強さ」は同じものではないことを示している。
(3)「情熱」と「粘り強さ」の相違点
 「情熱」とは「夢中でやること」や「熱中すること」とは異なり、「熱心さ」では
なく、「ひとつのことにじっくりと長い間取り組む姿勢」である。重要なのは、なに
かに熱中するのは簡単でも、それを持続するのは難しいということである。「やり抜
く力」というのは、ひとつ重要な目標に向かって、長年の努力を続けることである。
関係した多くの学者の体験から「やり抜く力」は年齢や生活環境の影響を受けること
が明らかになっている。すなわち、
 @ 育つ時代の文化的な影響を受ける。
 A 年齢とともに強くなる。
 ただこれらの相関性はあくまで不変ではなく、思っている以上に変化するものらし
い。
(4)「やり抜く力」を強くする4つのステップ
  1)興 味
 自分のやっていることを心から楽しんでこそ「情熱」が生まれる。尽きせぬ興味と
子供のような好奇心を持って決めた仕事を楽しいと思い、大好きになること。
  2)練 習
 「昨日よりも上手になるように」自分の努力を怠らないこと。自分のスキルを上回
る目標を設定し、それらをクリアする「練習」に励む必要がある。自分の弱点をはっ
きり認識し、それを克服するための努力を日々繰り返し、達成するまで何年も続ける。
  3)目 的
 自分の仕事は重要だと確信し、他の人のためにも役立つという思いを強くし、情熱
を絶やさない。目的意識を感じて興味に変え、継続に結びつける努力に繋げる。
  4)希 望
 希望は困難に立ち向かうための「粘り強さ」である。ひたすら自分の道を歩み続け
る姿勢は、最初の一歩を踏み出してからやり遂げるまで、困難にぶつかろうが、不安
になろうが重要なことである。
 
 そして著者はこれらのステップをいかに早く、かつ確実にクリアできるかは何より
も「好きなことを仕事にすることである」と説く。しかし、好きなことをしても、そ
の人がどのくらい成功するかを左右するのは、その人がどれだけ切望し、どれだけ強
い情熱と興味を持っているかに係っていると言う。
(5)「やり抜く力」は伸ばすことが出来る
 終わりに著者は誰でも「やり抜く力」を伸ばすことが出来るとして、その方法とし
て、以下の2つを挙げている。
 @ 一つは自分自身で「内側から伸ばす」方法として、具体的には「興味を掘り下
げる」、「自分のスキルを上回る目標を設定して、それをクリアする練習を習慣化す
る」、「自分の取り組んでいることが、自分よりも大きな目標と繋がっていることを
意識する」、「絶望的な状況でも希望を持つことを学ぶ」などの方法があるという。
 A 二つ目は幸福感である。人生で大切なのは成功だけではない。人は誰でも幸せに
なりたいはずである。幸せと成功は繋がってはいるが、二つは同じものではない。調
査の結果では、「やり抜く力」の強い人ほど、精神的に健康な生活を送っていること
が分かった。
 
 ただし、人の性格の中で、「やり抜く力」が唯一重要なものでもなければ、一番重
要なものでもないことは証明されている。実際に幾つかの研究において、人々が他人
をどのように評価するかを調査した結果、様々な性格の特徴の中でも、「道徳性」が
最も重要と考えられていることが分かった。
 「やり抜く力」のことをよく知るには、そのほかの長所との関連性を理解すること
もその一つである。その関連性が良く分かる三つのグループがある。すなわち、「個
人的な長所」、「対人関係に役立つ長所」、「知性に関する長所」である。それは
「意志力」、「心」、「頭脳」と呼んでも良い。
 @ 「個人的な長所」には「やり抜く力」のほかに、誘惑を退けるための「自制心」
がある。「やり抜く力」の強い人は、「自制心」も強く、逆もまたしかりである。個
人的に重要な目標の達成に関わる性格の特徴を纏めて「遂行能力」や「自己管理能力」
と呼ぶこともあり、そのような能力は、就職のときに役立つとして「履歴書に書く長
所」と呼ぶ人もある。
 A 「対人関係に役立つ長所」には、感謝、社会的知性、怒りなどの感情のコント
ロールなどがある。これらの長所は周りの人との付き合いや助け合いに役立ち、「道
徳的性格」と呼ばれることもある。
 B 「知性に関する長所」には、好奇心や熱意などがあり、先入観を持たず、積極
的に様々な考え方と向き合うのに役立つ。
 
 人の性格は複雑な特徴で成り立っているのであり、どれか一つだけが重要なのでは
ない。「やり抜く力」が強いということは、別の言葉で表せば、次の様な諸点に集約
できるのであろうか。
 @ 一歩ずつ前に進むこと、
 A 興味ある重要な目標に、粘り強く取り組むこと、
 B 厳しい練習を毎日、何年間も続けること、
 C 七回転んだら、八回起き上がること。
(6)翻訳者の賛辞
 最後に訳者の神崎朗子氏は次のように書いて本書を賞賛している。
 “「やり抜く力」は、自分の選んだ道で成功するためだけでなく、人生という長い
マラソンを走り続けるために、全ての人にとって重要だと説いている点である。山あ
り谷ありの人生を、幸福感を失わずに生きて行くためには、目の前の困難や挫折を乗
り越えるだけでなく、自分なりの大きな目標と興味と、希望が必要だ。私らには何歳
になっても自分自身の「やり抜く力」を伸ばし、自分の子供や家族だけでなく、周り
の人たちの「やり抜く力」を伸ばすために、お互いに手を差し伸べ、貢献することが
出来るという力強いメッセージには、勇気が湧いてくる。そのための方法も細かく本
書に述べられている。”
3.「“GRIT”平凡でも一流になれる『やり抜く力』」から改めて学べること
 それは著者の2人が書いているように、“「真の成功」に必要なのは才能やIQでは
なく、グリット(やり抜く力)である”につきるだろう。著者は、これまでの調査や
経験に基づくと、グリットは次の四つの重要な要素に分解できるとして、本稿の出だ
しのところで紹介した言葉の組み合わせか、語呂合わせのような四つの英単語の最初
の文字の組み合わせの言葉“GRIT”を導く実例をこれでもかというくらい豊富に引い
て理論を裏付けている点が印象に残った。
 それでは、本書の著者の説く四つの要素を代表する“GRIT”を紹介してみよう。
 * 度 胸(Guts)
 困難に挑み、逆境にもたじろがない勇気。度胸とは、自らを危険にさらし、たとえ
勝利が目の前に見えなくても、必ず勝つという意思を表明することだ。
 * 復元力(Resilience)
 復元力はグリットに「弾力性」を与える。チャンスがある限り、世界の果てまでそ
れを追いかける原動力になる。
 * 自発性(Initiative)
 自発性はまさしく、グリットを動かし、前へ進めるものだ。リーダーは率先しても
のごとに取り組む能力で評価されることが多い。
 * 執 念(Tenacity)
 執念とは、どんなことがあっても目標に集中し続ける能力だ。これは多分グリット
に関わる性質の中でも最も見分けがつきやすい。執念(粘り強さ)に必要なのは勤勉
と決意である。
5. エピローグ
 議論の進め方は取り上げた2書ともほぼ同じで、アンジェラ・ダックワーの表した
本の方が、記述が理論的で、重点が拾いやすく、学術書としては成功しているように
筆者には思えた。リンダ・キャブラン・セイターとロビン・コヴァルの著した本はど
ちらかと言うと、理論展開よりも平凡でも一流になれる事例を幅広く、スポーツ、芸
能。音楽などを含めた各界の事情を事例研究の成果と言う形で纏めたものと言えるだ
ろう。それはそれで、フィールドワークとしては、特に心理学者には格好の面白い課
題であったろう。                             了
                       2017年2月11日(祝・土)  記
 
2017. 3.29 清水 急激な変化が予感される生活環境の中、日本は世界をリードできる国に変われるだろうか
 
急激な変化が予感される生活環境の中、日本は世界をリード
   できる国に変われるだろうか 横浜市  清水 有道
 
1. 本稿を思い付いた背景
 あと一か月と幾日かで傘壽を迎えるのに今更憂いても仕方のないことかもしれない
が、日本の今日の荒廃した思考基盤と教育体制、社会環境の改善と修復にはどうすれ
ばよいのだろうかと、毎日思い巡らせて疲れてきた。何時黄泉の国へ旅立っても不思
議ではない年齢に達した昨今、未だにこのような遠大なテーマを追ってみても所詮詮
無いこととしみじみ考え込んでしまうが、しかし、国民一人一人が皆同じように現状
に満足していないならば、将来のために少しでも良くなるような方策を探り、具体的
なマイルストーンを見出せるなら、力を合わせて更なる進歩・発展が実現できるので
はなかろうか。筆者の欲張りはそこで、余生のある内にそのために微力でも何か力か
手を貸すことが在りはしないかと考えるのである。
 筆者もまさにその中の一人であるが、高齢老人の実情を整理してみた。日本の全人
口1億2千万人の実に27%、3,400万人が2015年時点での高齢者人口である。この内、
年間所得が200万円にも満たず、全金融資産が1,000万円以下といういわゆる下流老人
がなんと高齢者人口の20%、700万人も実在している。反面、年間所得が1,400万円以
上あり、全金融資産も5,000万円以上有するいわゆる金持ち老人も15%、500万人もい
るらしい。これら2階層の中間がいわゆる中間層老人で、高齢老人の65%、2,200万人
実在していることになっている{注:文中の参照数字の出典は、寺島実郎著「シルバー
・デモクラシー」(岩波新書、2017年1月20日刊)による。}そこで、誰云うとなく謳
われている川柳の『金よりも大事なものが無い老後』が中間層を含め大半の老人の偽
らざる心境を端的に言い表している。
2. 日本の勤労者、働き手の実情
 次の表は日本の勤労を支えている人口の一次(農林・水産漁業・鉱業)、二次(生
産・製造工業)、三次(サービス、営業、管理、広報、宣伝、教育等)産業の構成人
口比率の推移を示している。この表の数字も上記の寺島実郎氏の近著から引かせても
らい筆者が表にしたものである。

 この表からも良く分かる通り、戦前から戦後5年くら 一次産業従事者
一次産業従事者
いまでは、労働人口の半分は農業、林業、水産漁業や鉱
物の掘削業に従事していた。2000(平成12)年になると、
一桁の5%にまで減少し、2015(平成27)年では3.6%に
まで下がってしまう。一次産業に従事している人がほと
んどなく、将来産業として維持できるのか甚だ危うい状
況であり、特に生命を支える米麦や魚肉の供給が従来同
様にもたらされるか大きな心配を抱かせる。一次産業に
比べて三次産業の従事者比率は年々増加し、現在では1920(大正9)年の約3倍にま
で拡大し、2015(平成27)年では全労働人口の70%以上にも及んでいる。中間の二次
産業はコンスタントに20%台、全労働人口の5分の1とやや安定している。
3. 近未来に襲ってくるドラスティックな変革
 ここで筆者が問題にしたいのは、以前にも紹介済みであるが、二次産業、三次産業
の従事者の仕事が本当に近い将来にAIやIotに取って代わられる運命にあることであ
る。そうなれば、これら両産業区分の90%以上の働き手が職を失う危険に見舞われる
のである。今の段階から相当綿密に準備して、これら産業区分間の就労者のスムーズ
な、あるいは段階を経ての移転を真剣に考えなければならないと思う。既に週刊誌等
に取り上げられ話題を読んでいるが、大手企業は一業種に一社しか生き残れないとし
て、今年から各業界の上位の企業同士の吸収合併が加速されると報じている。そうな
れば、更に新しく生み出される余剰人口の振り向け先、吸収先が果たして存在し得る
か、筆者には特に新たな学習や教育訓練なしに右から左に変われるものだろうか、甚
だ難しい問題を多く含んでいるように思われる。多分、学校や学部の選び方、居住地
の選択等々、生活の基盤も設計もがらりと変わらざるを得なくなるであろう。
 比較する対象が違うかもしれないが、ことによっては、文明開化や産業革命よりも
大きな時代を分ける一大変革期を迎えることになるだろう。自分のこととして対処す
るにはいかにも遅すぎるが、少なくともそのような事態を迎えたときに、本稿の表題
に掲げた如くに、我が国が世界の他国に先んじてリードできる力を持ち切れるであろ               
うか、余命のある限り、推移を良く見守りたいと思う今日この頃である。    了  
                         2017年1月31日(火)  記
 
2017. 3.14 清水 またまた出現した新たな新書
 
またまた出現した新たな新書 横浜市  清水 有道
 
1.あらまし
 新年に入ってまたまた集英社から「インターナショナル新書」という新たな新書シ
リーズが企画され、1月17日付けで次の5冊が刊行された。
  ・No.001 池澤夏樹著 「知の仕事術」
  ・No.002 池田清彦著 「進化論の最前線」
  ・No.003 岩下尚史著 「大人のお作法」
  ・No.004 福岡伸一著 「生命科学の静かなる革命」
  ・No.005 町山智治著 「映画と本の意外な関係」
 筆者も早速作家の池澤氏の書評や作品が心地よいとの印象があることから、生物の
遺伝や進化に異常に近い関心を抱いていることから池田氏の著作にも心を揺さぶられ
て、No.001とNo.002の2冊を求めた。多分極めて近い将来に他の3冊も含めて5冊全
部を求めることになるだろうと思う。これから更に池田氏の友人として養老孟司氏や、
また、池澤氏や他の方々の推しもあって池内 紀氏等が執筆陣に名を連ねることでし
ょうから、筆者の毎月次の読書プログラムの中にこの新書シリーズの占める割合はき
っと大きくなるのではないかと思っている。
 確かに文庫版はサイズが 「知の仕事術」
「知の仕事術」
「進化論の最前線」
「進化論の最前線」
小さいために、どうしても
ちょっとした長編は分厚い
角張った塊にも似た本にな
ってしまい、持ち歩きや収
納に甚だ難儀し、そうかと
いって大きなハードカバー
ではしっかりしたカバンが
なければ持ち歩くことが出来ないばかりか、安易な格好での読書にも馴染まない。か
といって、更に大判の週刊誌版やムックサイズになるとその取扱いの場は限られてく
るので、日本語なら新書版、英語ならやはりペンギンブックサイズのペーパーバック
が生き残る力を一番強く持っていると言えるのではなかろうか。
2.一冊目の池澤夏樹氏の「知の仕事術」について
 「知の仕事術」は大変面白く読んだ。氏の説では、知の源泉は専ら活字の新聞と本
ということになるらしく、大半は本に集中して話が進められていると言っても過言で
はない。源泉としての本に近づく方法として、非常に親切に、
 (1)本の探しかた
 著者が長い間新刊書の書評を担当していた経験から、他の評価者が探し当てなかっ
た貴重な本を紹介することになったときの喜びを語るなど、興味ある内容が読めて楽
しかった。
 (2)書店の使いかた
 在来の市井の書店とインターネット書店との功罪、便・不便や専門図書を決めて扱
う古書店(古本屋)の有効利用法、大型書店の役に立つ一面等納得できる記述がたく
さんあった。図書館を上手に利用して読みたい本を無料で読める楽しみも大いに享受
したらという勧めも最もであると思った。
 (3)本の読みかた
 フィクションとノンフィクションに分けて、目次の利用と絡めての議論は参考にな
った。フィクションの場合の登場人物の系図的な一覧表や物語が展開される場所の地
図などが目次の前後に置かれているものが多いが、これらは読む人の考えで、それぞ
れに工夫して考えることに任せるべきとの意見のようで、筆者も納得できる。
 (4)モノとしての本の扱いかた
 筆者も偶然にも同様のやり方をしているが、本をモノとして売買の対象にして整理
しているので、後日参考にしたいものは、書き込みやマークをして長く座右に持ちた
いものとし、読み終えたら直ぐに転売するために丁寧に、綺麗に扱うものにどうして
もマーキングする必要があれば、6Bの鉛筆でちょっとした印だけを付けることにして
いるという池澤流も面白かった。
 (5)本の手放しかた
 蔵書として手元に残したい本の扱いや最初から限定版の本をその目的に合致するも
のとして購入する場合の考え方にもいろいろあり、池澤氏が父親の福永武彦氏とちょ
くちょく議論をしたことの記載も面白かった。
 
 後半3分の1は“もの書き”としての著者の立場から、大括りにすると、
 (1)取材の現場でなにを注目するか、
 (2)コミュニケーションの取りかた
 (3)アイディアの整理とアイディアを活用して文として実現させるには、
 (4)もの書きには言語には出来れば多く対応できることが望ましいが、語学修得
    はどうすれば合理的にフルーツを得やすいか、
 (5)ディジタル時代で有効利用できることはなにか
等々が紹介されているが、紙面の都合で内容は省略する。ただし、筆者も“もの書き”
の中にどうにかぶら下がっている一人だと自負しているので、実情を明かせば、この
部分が大変参考になった。なによりもこのように著者の私的な部分を明らかにした
“もの書き”は余りいないように思うので、なかなか求められないものを手にした思
いで、何よりの収穫であったと嬉しくもあり、大いに満足したのだった。    了
                         2017年1月17日(木)  記
 
2017. 2.26 清水 わが水彩画個展への蛇足
 
わが水彩画個展への蛇足 横浜市  清水 有道
 
 昨年11月6日(日)から1週間、6年ぶり6回目の水彩風景画個展を持つことが出
来た。自作の36点に囲まれて、毎日たくさんの来覧者を迎えて、作品が生まれた経緯
を説明していると、改めてそれぞれの旅の中で、題材をアングルとして見極めたとき
のひらめきと満足感を思い返す一方で、彩色の時の色の組み合わせや対比、グラデー
ション等々試行錯誤の苦労も思い出された。
特に透明水彩では塗り重ねすぎると折角の透明さが失われて、濁ってしまうので、絶
えずもう一度塗れるだろうか、やったら失敗するだろうか、の賭けの場面に立ち会わ
された。水に映った景色や大きな山の斜面の波打つようないろいろな濃度の赤、紅、
橙、黄の帯状や塊になって 作品1
作品1
作品2
作品2
いる様を表現するのに殊の
外辛い思いをした。このよ
うにして生まれたのが今回
の出展作の中では「錦秋を
照映する奥日光湯ノ湖(栃
木県)2014年10月」(F6)、
「錦秋の抱き返り渓谷(秋
田県)1998年9月」(F6)の2点だろうか。
 実際に、会期中に会場を訪ねてくれた日本水彩画会の会員の某氏もこの「錦秋を照
映する奥日光湯ノ湖」を出展作品の一番の秀作と思うとの評をくださった。その他制
作者の自選では作品を五つのカテゴリーに分けて、それぞれに2作品を挙げておきた
い。
1.現場で作成したデッサン
 (1)「ウイリアムスバーグ・ロッジの樹林のスケッチ(米国ヴァージニア州)1988年9月」(F3)    
作品3
作品3
 筆者がまだ日本の企業で海外営業の仕事に従事してい
た頃、提携していた米国企業の全世界の営業部長会議で
同地を訪れたとき、会議の前の瞬時を利用して作ったス
ケッチだった。この作品は筆者の高校時代のクラスメイ
トが求めてくれた。
 
 
 
 (2)「当麻寺(たいまでら)西南院(奈良県)2009年5月」(F3)
 筆者が5月のゴールデンウイークを利用して奈良市を 作品4
作品4
中心にして県内をスケッチ旅行中に作ったものだった。
その日は奈良市内のホテルから近鉄で当麻寺を訪れ、そ
の裏側に連なる双耳峰の二上山(ふたかみやま、雄岳
517m、雌岳474.1m)に登って眼下に大阪平野の広がりを
眺めたのだった。この作品も高校時代の別のクラスメイ
トが求めてくれた。
 
2.霧島連山に登山旅行したときの作品
 (1)「霧島を寿ぐミヤマキリシマ(宮崎県)2009年6月」(F8)
作品5
作品5
 連峰の最高峰「韓国岳(からくにだけ、1700m)」から
獅子戸岳(1429m)、新燃岳(しんもえだけ、1421m)、
遠方に高千穂峰(たかちほみね、1574m)を眺めるアング
ルを切り取った作品。連山がこの連山に特有のつつじで
あるミヤマキリシマの赤一色に包まれた様をどうやって
表現したものか、と思案した。色を付けたのは帰宅後自
宅においてだった。会期中に会場を訪ねてくれた洋画家
3人が別々の日であったが、図らずも本作品を一番と推
してくれた。筆者の近所の友人が求めてくれた。
 (2)「霧島 韓国岳からの眺め(宮崎県)2009年6月」(SM)
 持参したスケッチブックに直接写した作品で、帰宅後 作品6
作品6
に少し色を足したが、殆どは現場での作業のままである。
上記(1)と少しアングルを変えている。
 
 
 
 
 
3.国内の観光スポットで独自のアングルを見付けた作品
 (1)「隠岐島国賀海岸通天橋風景(島根県)2014年6月」(F8)
作品7
作品7
 日本海の強風と怒涛の波に打たれながら悠然と立つ岩
肌を力強く表現できたと思っている。ギャラリーの希望
を入れ、会場の入り口に掲げ、看板のポスターにもこの
作品を拡大した写真を使った。
 
 
 
 
 (2)「昇仙峡秋景(山梨県)2006年9月」(F6)
 昇仙峡の中ほど覚円峰近くの柱状節理の岩肌が覗き見 作品8
作品8
える断崖に真っ赤に紅葉した木々が並び、上部の土が多
少あるところには常緑の針葉樹林が覆っている景色を切
り取って描いてみた作品。
 
 
 
 
4.海外旅行の訪問先の思い出をわが手による作品として残した作品
 (1)「チベット・ラサ市の“ポタラ宮”(中国)2012年8月」(F6)
作品9
作品9
 青蔵鉄道が中国西安から終点の拉薩(ラサ)まで全線
が開通して以来何回も訪問を計画して果たせなかったが、
2012年にやっと実現できた。このときの経緯は既に本紙
ホームページにも投稿しているので、ここでは詳細を述
べることは割愛するが、今でもあの大きな白色の建物の
壁の連なりが丘の上に聳える威景はまさに圧巻であった、
と思い起こされる。建物が富士山よりも標高が高いとこ
ろにあるとは、とても信じられなかった。
 (2)「ヴィントガル渓谷(スロヴェニア)2010年8月」(F6)
 クロアチアをゆっくり旅してイタリア半島との間にあ 作品10
作品10
るアドリア海の景色に見慣れた後、カルスト台地の中の
湖沼群国立公園プリトヴィッツェ(Plitvice Lakes)の
大小16の湖沼と92の滝の織りなす絵巻を見た後に訪れた
隣国スロヴェニアのこの渓谷は日本の谷筋と酷似してい
ると感じ、歩く足を留めてスケッチした作品である。非
常に明るい感じの渓谷に、陽光が差し込み、川面の反射  
が美しかった。この映えを表すために、仕上げにパステ
ルを差した記憶が忘れられない。 
5.別の目的で訪れた場所で、どうしてもスケッチを残したくなった作品
 (1)「徳川園(愛知県名古屋市)2011年6月」(F8)
作品11
作品11
 横浜美術館協力会の賛助会員の仲間と一緒に名古屋市
内の徳川美術館との交歓会に訪れた際、付属の庭園を大
急ぎで一周したときに作った作品である。池に映った建
物を筆者にしては珍しく比較的精密に描き込んでみた。
池の色も青系統の色は出来るだけ控えめにして、映る景
色の色合いをそのまま乗せてみた。筆者が出展36点中で
一番気に入っている作品で、案内のハガキにも使った。
 
 (2)「足利フラワーパークの睡蓮(栃木県)2014年10月」(F8)
 大きな藤棚で有名なこのパークであるが、睡蓮もいろ 作品12
作品12
いろたくさん育てている。どういう訳か筆者本人もよく
分からないのだが、睡蓮をモネに似せて描こうとしてい
る訳ではないが、この花を描くことが好きである。この
絵では画面下部3分の1内の葉を水面下に沈めて、視点
を中心の花に集中させようと意図して制作した。会期中
の観覧者の何人かの方々に花の輪郭がなければ、花の柔
らかさがもっと伝わったのではなかろうかとの指摘を受
けた。筆者ももっともな意見と受け止めている。
 
 会期中に訪ねてくれた同好の士からいろいろコメントをいただき、アドバイスを得
て、今後の制作に大変参考になった。作例を提供することにより、自分では気付かな
いところを指導され、表現法の細かなところまで伝授されたりして有意義であった。
八十路を迎える身として、今回の個展を最後にしようと考えていたが、また、新たな
意欲が湧いてきた思いでいっぱいである。因みに、上記の作品すべてに対して、イン
ターネットを通じ、引き合いがあって、俄かに本職の作家になった気分も味わってい
る昨今である。                              了         
                         2017年1月8日(日)  記 
 
2017. 2.12 清水 大好きないかにも日本語らしい美しい響きの言葉
 
大好きないかにも日本語らしい美しい響きの言葉
横浜市  清水 有道
 
 八十路を迎えるに当たり、 美しい日本語の辞典
美しい日本語の辞典
やまとことば辞典
やまとことば辞典
今までの読書人生を振り返
って、日本に生を受け、育
ち、多くの文芸作品にも親
しんだ中から、さて、何が
日本語らしい表現なのだろ
うか。どういう言葉に自分
の心が動き、文学作品であ
れば印象を強く持つことが出来たのであろうか。このところ毎日しみじみ考えている。
 そこでまず手始めに、動作の主体である自分がする行いや動き、そして心の動きを
表現する日本語の言葉(主として動詞であるが)の中で、いかにも日本語らしさが溢
れ、漲っているものとして、次の12語を挙げてみたい。相当に我流であることを前も
ってお断りした上で、筆者なりの心根を補足して綴ってみることにする。
(1)培(ツチカ)う
 自分の気持ちを込めて、長い間時間を掛けて、温めて養い育て上げ、実らせ、モノ
にする精神性と動作が思われる。
(2)育(ハグク)む
 エンブリオの時から、先の姿を描きつつ、心を込めて、見据える姿が見られる。
(3)愛(メ)でる
 ものの哀れを感じ、安らかに包み込み、その姿をありのままに受け入れたい心情が
感じられて嬉しい。
(4)誘(イザナ)う
 気が休まる方向に誘導される気持ちを感じて、喜んで受け入れる気持ちが静かな心
と身体の動きに反映されるようで心地よい。
(5)訪(オトナ)う
 自らの意志で、気持ちを込めて、あるいは期待を寄せて、能動的に近づき、入り込
んで行く様が感じられて安らぎを覚える。
(6)慈(イツク)しむ
 心を相当部分移し、分かち与えて、抱き締めたいくらいの気持ちを込めての愛情が
感じられる。
(7)寿(コトホ)ぐ
 ばか騒ぎをするのではなく、厳粛に、かつ大胆、盛大に祝い、喜ぶさまを良く表し
ていると思う。
(8)繙(ヒモト)く
 しっかり精神を統一して、先達の教えを探し、自己啓発に向かわんとする姿勢が見
えて、単に本を開き、読むより内容があることが自明の理であることを良く表してい
る。
(9)滲(ニジ)ませる
 単刀直入に言い切るのではなく、婉曲に優しく、柔らかく諭す気持ちが表れている。
(10)肯(ガエン)じる
 心から同感して受け入れる、賛同する、肯定する固い意志の伝達が感じられ、少々
固い漢語からの転用であろうが、好きな言葉だ。
(11)紡(ツム)ぐ
 いかにも手間暇かけて根気よく、小さなものから大きな形あるもの、価値あるもの
に創造する場面が思われて、温めていたアイデア等を実のある物、生命あるものに作
り替える様が思われて美しい。
(12)醸(カモ)す
 酒を造ることの転用で、モノを作ることに使うより、もっと幅広い空間の空気や雰
囲気の様を表現する際に似つかわしい言葉だと思う。             了
                         2016年12月22日(木)  記
 
2017. 1.22 清水 「フィンテック」とはなにか?
 
「フィンテック」とはなにか?「フィンテック」が注目される理由と
今後の金融ビジネスに及ぼす影響 横浜市  清水 有道
 
1. 初めに
 恥ずかしいことながら、筆者はごく最近まで「フィンテック」という言葉の本当の
意味と何故いま「フィンテック」が時の言葉としてその道の達人の口の端に載せられ
ているのかを全く知らなかったし、注目しようとも思ったことがなかった。ところが
ある時、某銀行の待合室に置かれていた雑誌の数冊に、たまたま共通の記事として、
極めて近い将来、個人が銀行に行かずとも手持ちのカードから買い物をし、代金の決
済が家庭から、買い物をした店先から、旅行中のホテルやデパートからできる日が訪
れることを知り、興味津々でそれぞれの雑誌を読み進むうちに、米国を中心に先進諸
国では既に幾つもの事業社が実施していることが分かった。
 そこで遅まきながら、「フィンテック」そのものと、そのバックにある考え方、問
題点、今後の動向、将来の展望等々につき、筆者が学んだことをダイジェストして、
ホームページ上に展開してみたいと思う。
2.「フィンテック」の意味と注目される理由
日本銀行
日本銀行
 「フィンテック(FinTech)」とは、金融を意味するフ
ァイナンス(Finance)と技術を意味するテクノロジー
(Technology)を組み合わせた造語で、日本では2015年
12月に金融審議会が公表した報告書の中で、「主に、IT
を活用した革新的な金融サービス事業を指す。特に従来
の金融機関が提供していない、あるいは提供できない金
融サービスを提供する動きを指す」と説明している。
 
 フィンテックが注目される理由は、主に以下の二つにある。
 (1) 新しくて、便利な金融サービスが次々と誕生している。
 (2) 既存の金融機関の存在を脅かす可能性を秘めている。
 (1) の例としては、いずれも米国に既に存在している事業体で、
  ・銀行を通さずに、個人間の送金を実現した「ペイパル(PayPal)」
  ・個人の資産管理、資金運用をサポートするパーソナル・フィナンシャル・マ
   ネージメント、略称“PFM”)サービスを行う「ミント(Minto.com)」
  ・スマートフォンに「ドングル」と呼ばれる機器を取り付けることで、クレジッ
   ト・カードが利用できなかった店で、クレジット・カードで決済の出来る「ス
   クエア(Square)」
  ・個人間のお金の貸し借りを仲介してくれるプラットフォームを提供している
   「レンディング・クラブ(Lending Club)」
  ・店舗を持たずにスマートフォン上で銀行と同じサービスを提供する「シンプル
   (Simple)」
等がある。これらの会社や組織が機能を発揮すれば、既 スマートフォン
スマートフォン
存の企業のビジネスを脅かす存在となってしまう。利用
者が利便を認め、継続出来るなら、サービスを提供する
側もさらに便利な機能を次から次にと追加して行くでし
ょうから、既存企業との争いは増幅することになる。
 以上の注目される二つの理由は、既存の金融機関のサ
ービスに比べて、非常に低価格でサービスを提供してい
ること、利用者にとっては使いやすいというメリットが
あることである。
 余計なことかもしれないが、銀行が持つ専門知識とコンピューターを組み合わせる
こととして、「フィンテック」という言葉を使った最初の例としては、1972(昭和47)
年に米国の某銀行の副頭取が雑誌に寄せた文の中に使われているようである。
 序に、米国以外、特にケニアでスタートし、アフリカ、中東、中央アジア等の新興
国間に爆発的に普及している「エムペサ(M-PESA)」というシステムに一言触れてお
こう。これは携帯電話ネットワークを利用したモバイル決済ネットワークで、ショー
ト・メッセージ・サービス(Short Message Service, 略称“SMS”)からメッセー
ジを送るだけで、簡単に送金や決済を済ませることが出来るサービスである。
 もう一つ、従来の保険業とテクノロジーを組み合わせた造語に「インステック(Ins
Tech)」があるが、今回は割愛する。
3.わが国のフィンテックの問題点、弱点は何処にあるのか
 現在の我が国におけるフィンテックの問題点と云うか、弱点はフィンテックを提供
する企業内にITシステムを自由に開発、運用する力を持ったITエンジニアが少ないか、
あるいは全くいないことである。最悪の場合には、ITシステムを構築することから運
用、維持、管理までの一貫した作業をまるごとITシステムの専門ベンダーに依存して
しまうのがほとんどであるということである。海外では、フィンテック企業が自らIT
エンジニアを抱え、自前でこれら一連の作業を行っている。緊急の事態が発生したと
きに、自社内にシステムに精通したITエンジニアがいないことが銀行、保険、その他
の金融機関に共通して見られる我が国の遅れた実情である。今後のフィンテックのイ
ノベーションは、今まで「金融」が踏み入れなかった分野に「金融」を届けることが、
開拓すべき機能の実現ということになるのでしょう。
4.これからのフィンテックの発展を左右するAPI
 API(Application Programming Interface)とは、ソフトウエア・コンポーネン
トが互いにやり取りするのに使用するインターフェースの仕様のことである。別の言
い方をすれば、アプリケーションをプログラムするにあたって、プログラムの手間を
省くため、もっと簡潔にプログラムできるよう設立されたインターフェースのことで
ある。APIを使うことで、コンピュータ・ソフトウエアが、他のソフトウエアと広義の
意味で通信し合うことができる。APIを利用することは、セキュリティーの向上にも寄
与している。金融業界のAPI活用は、外部のAPIを活用することからスタートした。例
えば、みずほ銀行がメッセンジャーサービスの“LINE”が提供している法人向けのAP
Iと連携して、LINE上で口座の残高情報を確認できるサービスを提供していることで
ある。
 金融機関側からのAPIの提供は、まずはフィンテック企業から始まった。PFM、ロボ
ットアドバイザー、ソーシアルレンティング、そして近年急速に注目を集めているブ
ロックチェーンの分野などでAPIを通じたサービスが多く提供されている。このよう
な動きに追随する形で、既存の金融機関でもAPIを開放する検討が進んでいる。もう
既に自社のAPIを公開している金融機関も、フランスのクレディ・アグリコル銀行や
米国のVISAなどでは利用客先の利便に大いに役立っている。
 政府によるAPIオープン推進の動きも進められている。英国ではFCA(Financial Co-
nduct Authority、金融行為規制機構)が主導して、オープンAPI(Open API)イニシ
アティヴが提唱され、金融市場を活性化する新規参入を促進するためのAPI開放を援
護している。わが国でも2015年末に公表された金融庁の金融審議会の「決済業務等の
高度化に関するワーキンググループ」の報告書において、「オープンAPIの在り方を検
討するための作業部会等」を設置することが発表されている。この作業部会では2016
年度中を目途に、API公開の方針に関する報告を取り纏める予定になっているという。
このようにAPIの導入のトレンドはこれからますます加速して行くことが予想されるが、
ユーザーには多様なサービスを素早く提供するメリットをもたらす半面、事業者には
更なる競争を強いることになると思われる。自社のサービス拡大に寄与する反面、他
社に自社のサービスを活用して新たな付加価値を生む可能性を助長することにもなる。
APIの公開に向けてどのような内容の情報が対象になるかの決定、決断が金融機関は
元より新規参入の他の事業者の今後の事業推進の浮沈を左右することにもなりかねな
い諸刃の剣と言えるのではないだろうか。
 API開放から生み出される新しいアプリの開発が、さらにAPI提供企業に新たなAPIと              
アプリを生み出す循環の原動力となる。この状態をAPIエコノミーと呼ぶらしい。フィ
ンテックは新たなAPIエコノミーを生み出すことでさらに大きく発展、進化を遂げるこ
とになる。これはあくまで最善のプロセスをとることが出来た場合であるが、さてど
のような紆余曲折が待っているのであろうか。予断は許されないが、のんびり時間を
掛けて結論を待つこともまた許されない喫緊の課題でもある。         了 
                         2016年12月21日(水)  記
 
2017. 1. 8 清水 シンギュラリティ(『技術的失業』)は果たして何時来る?
 
シンギュラリティ(『技術的失業』)は果たして何時来る?
横浜市  清水 有道
 
1.はじめに――わが驚き
 2045年に本当にシンギュラリティ(Singularity, AIが人間の知性を凌駕し、企業
が生身の人間よりもAIやそれを搭載したロボットを雇うようになり、労働者は一切雇
われなくなり、いわゆる『技術的失業』に見舞われることを指す)が来ることになる
のか。目下全世界は本当にそれに向かった道を突き進んでいるのかを知りたくて、ま
た、それが本当なら、今日の日本は余りにも暢気すぎるのではなかろうかと思い、自
分でこれを突き詰めるのはもしかしてわが人生の最後の勉強かもしれないと思ったの
である。
 そこで、またもや柄にもない本をしかも3冊も買い込んで、調べ始めてしまった。
それというのも、この主題は筆者には余りにも疎い分野であり、判断基準を持ってス
タートラインに並ぶ前に、相当厳しい勉強を覚悟しなければならないことをまず覚悟
した。筆者が選んだ3冊は、
 
 *「ビッグデータと人工知能」 西川 通著 中公新書
 *「人工知能と経済の未来」  井上智洋著 文春新書
 *「世界経済まさかの時代」  滝田洋一著 日経プレミアシリーズ(新書)
 
である。何を明かそう、筆者は今を時めく『ビッグデータ』と『シンギュラリティ』
なる言葉の正確な意味も知らなかったのである。甚だ情けない限りであるが、どうい
う訳か、最初の会社勤めを終えてから、急速に変化している社会のトレンドに乗り遅
れていたのであろうか、ともかくこれらのキーワードに接することなく過ごし、気が
ついた時には、恰も自分の今までの生活との間にとてつもなく大きなギャップが出来
てしまったという大変な不気味な感覚を味わい、自分が座っても立っても居られない
立場に追いやられてしまったのではなかろうかという自分に気が付いてぞっとしたの
であった。何故こんなことになってしまったのか?まだ現役で仕事をしているのに、
少なくともそう自負しているのに、何故ここまで距離が出来てしまったのか?考えれ
ば考えるほど不思議であり、狐にでも化かされたような気がしてならなかった。
 
ビッグデータと人工知能
ビッグデータと人工知能
人工知能と経済の未来
人工知能と経済の未来
世界経済まさかの時代
世界経済まさかの時代
 
 折も折、12月に入った初日の日本経済新聞の朝刊は、横浜市立大学が2018年4月に
ビッグデータの解析・活用を専門的に学ぶ新学部を設立することを報じていた。目下
のところ、新学部名は「データサイエンス学部」と呼ばれる模様で、発足時の定員は
60名を予定している由である。特に、同大学では医学部を有しているため、医療面の
ビッグデータの活用に国の機関との提携で強みを発揮したい意向のようである。
 議論の準備はこのくらいにして、上記の3冊を読み終えて、焦点を絞って筆者なり
に理解した内容を以下展開してみたい。
 
2.「ビッグデータ」とは何か?
 「ビッグデータ」とはそもそも何を指しているのだろうか。今の時代に議論されて
いる「ビッグデータ」には次のような特徴があるようである。
(1) 桁違いのデータ量(Volume)であるということ
 10年くらい前までは1メガバイトのフロッピーディスクが使われていた。それが今
では3万2000倍の32ギガバイトあるいはそれ以上の容量のUSB媒体が普通に使われてい
る。参考までに、1メガは100万、1ギガは10億である。米国の調査会社の予測では20
20年には地球上の総データ量は40ゼタバイトにも達するという。因みに、1ゼタは10
億兆を指す。この量は地球上に存在する人間の処理能力を遥かに凌ぐものになってし
まう。そのためにたくさんのデータからサンプルを抜き取り、それらを分析してデー
タ全体の傾向を推し量るという従来の方法に代わってデータ全体を処理するという考
え方に根差している。
(2) データの種類(Variety)も滅茶苦茶に多いこと。
 ありとあらゆる人々が書いた詩、小説、評論、論文、エッセイ等々の文書、作った
数表、写真、デザイン、画像、動画、音声、音楽に彫刻、建物、交通手段、公園等々
際限がない。問題はこれらデータの一点一点を個別に扱うのではなく、複雑な要素の
絡まった組み合わせの条件下で、どのような答えが予測されるかを知らねばならない
のである。これらの処理のためには、いかなるファイルを用意しても必要度を満たす
ことは敵わない。
 従来の人間の最もベーシックな論理的思考が、因果関係分析であり、近代の知の王
道であった。しかし、そんな面倒なことは一切止めにして、初めからコンピューター
で自動的に相関関係を調べてしまおうという考え方である。
(3)三つ目の特徴こそグローバルなインターネットの時代を超えてユニークな存在と
思われる革新的なハードやソフトの技術の出現によって超大規模なデータ群を上手に
入手し、処理し、発信データとしてリアルタイムに、しかも高速で目まぐるしく動く
社会やそこに生活する人間個々人に提供できていることである。大きく括れば速度
(Velocity)ということになろうか。
 一部データの精度、質は落ちても、誤差として無視し、全体的な特性は全件処理に
より、正確に分かるというのがデータ分析の基本的態度であり、「質よりも量」とい
う核心の特徴である。
 そこでこれら三つの特徴を総括して3V(Volume,Variety and Velocity)と呼んでい
る。これらが組み合って作動するためにインターネットを前提にしたデータ処理サー
ビス業の幅広い高速分散処理能力が大きな力となっており、まさに近年のIT革新がも
たらした成果なのである。
 
3.AIはIoTとビッグデータとともに日本再興戦略の3本の柱
 日本政府の成長戦略を表した「日本再興戦略、改訂2015」において、AI(Artifici-
al Intelligence, 日本語では「人工知能」と訳出している)は「モノのインターネッ
ト(Internet of Things, 略して“IoT”)」や「ビッグデータ」とともに3本の柱と
して位置付けられている。IoTは、あらゆる物をインターネットに繋ぐという意味であ
り、ビッグデータは、文字通り、大量のデータを意味している。では、AIが発達する
とどのようにして経済成長が促されるのであろうか。また、AIが発達すると、「機械
が叛乱を来す」とか、「技術的失業が起きる」とかの問題が大きな議論を呼んでいる
が、これらとの兼ね合いはどういうことになるのであろうか。技術的失業を減らすに
は、世の中に出回るお金の量を増やすような金融政策が有効であると言われるが、20
30年頃に現れるであろうと予測されている汎用AIは経済構造を大きく変革してしまう
ために、質的にもこれまでの技術に大きなインパクトを与えてしまい、金融政策では
技術的失業を減らすことは出来ないだろうという説も近年強くなっている。汎用AIの
出現は、次の産業革命すなわち「第4次産業革命」を引き起こすだろうと予測されて
いるが、この産業革命のイメージはそれではどのようなものになるのであろうか。
 
4.第4次産業革命への備え
 ドイツでは既に2011年の時点で当時のドイツが置かれた深刻な人手不足を解決する
策として「インダストリー4・0」という政策ヴィジョンを掲げ、将来の生産工程で
は機械自らが学習して、機械同士が会話して、ネットワークに接続された機械と機械
が、あるいは機械と部品が相互に情報を交換しながら、協調して動作するようになる
と考え、そのような工程を有する工場を「スマート・ファクトリー(日本語に訳せば
「考える工場」)と呼んだ。工場すなわち生産システムは人間の介在なしに、勝手に
自分で考えて生産活動を行うようになると考えるのだ。この「インダストリー4・0」
はまさに「第4次産業革命」に他ならない。ただし、ここに大きな問題が生み出され
てしまったのである。人手不足は解消されたが、逆に人手が余ることになってしまい、
「技術的失業」を生み出してしまったのである。日本政府は第4次産業革命が実現す
る目安は2030年と変えてはいないが、1995年に始まったパソコンとインターネットに
よってもたらされた第3次産業革命の時と同様、既に事前の準備に入っていると言わ
れる。まだ相当に仮定の議論であるため、確たる筋道が出来上がっているわけでもな
く、また、軌道がしっかり敷かれているわけでもない。そこで、第3次産業革命の技
術が一度取り尽くされて次の第4次に移るのか、今までの産業革命の歴史的過程とは
異なって、第3次から引き続いて相当の技術を継承しながら第4次に移行して行くの
か、誰にも分かっていない。ただ、第4次産業革命のカギとなる技術は、当然のこと
ながら汎用目的技術(General Purpose Technology, 略称では“GPT”)であり、こ
の中枢をなすのは前掲のAI,IoTであり、3Dプリンターであると言われる。そして、
それらを繋ぐのがビッグデータとなるわけである。気の早い学者はこの技術を活用し
ていち早く生産活動に応用して、本革命を成し遂げた国が次のヘゲモニー国家(日本
語で言えば「覇権国家」)と呼ばれるとまで言及している。参考までに、この学者は、
米国の社会学者・歴史学者のイマニュエル・ウォーラスティンImmanuel Wallerstein)
で、彼によれば、過去のヘゲモニー国家は以下のようになる。
 
「産業革命」と「汎用目的技術」と「ヘゲモニー国家」
「産業革命」と「汎用目的技術」と「ヘゲモニー国家」
 
5.第4次産業革命を導くGPTの行き着く先にある失業労働者対策
 ドイツの「インダストリー4・0」は工業分野に限られた話であったが、汎用AIは
工業のみならず、サービス業他のあらゆる産業に影響を与えるため、目下のところ、
第4次産業革命をリードするGPTの最有力候補と考えられている。経済構造の抜本的
な変革は、汎用AIが平均的な人間の成し得る仕事の大半を奪ってしまうことから生じ
るわけであり、そのため、2045年頃には人間にしかできない仕事の範囲はかなり少な
くなっているはずだという。汎用AIは、電子秘書やAIコンシェルジュとして活躍する
ようになり、特にホワイトカラーの労働者は激減するものと予測される。
 次に、AIは「汎用ロボット」の頭脳として搭載されるので、例の掃除ロボット「ル
ンバ」を世に出したAIロボット研究者のロドニー・ブルックスが新しく起こしたリシ
ンク・ロボティックス社が作った「バクスター」というロボットは既に箱詰め、部品
の配置や取り付け等々の工場内の作業をこなしているという。近い将来に、数十万円
のロボットが家庭の主婦やレストランのウエイターやウエイトレスとして、また、理
容店のヘヤ―カットやトリートメントを担う人の代わりに活躍するときが訪れると期
待されている。上記したように、汎用AIが2030年に登場し、汎用AIを搭載したロボッ
トがその5年後に出現し、そしてそれから10年以内2045年には相当程度普及している
ものと考えられる。こうなったときの人間の行う仕事の領域は想像性を発揮する分野
すなわち、小説や詩作、脚本、映画作り等や工場・店舗の経営・管理等の業務、介護・
看護・保育・先生・インストラクター等の細かい対応にこたえて活動する特殊なホス
ピタリティーを要求される人々等に限られるだろう。
 
6.べーシック・インカム(BI)と従来の年金他の保証金との調整の必要
 この時点で大事なことは、ごく一部の人々しか収入を得る方法が無くなるため、
ベーシック・インカム(Basic Income, 略称“BI”)の用意が必要となり、新しい制
度が従来の諸々の社会保障制度に代わって、全ての人が受給対象者として適用される
必要が生じてくる。この辺りの制度の在り方は今のところは、理論的に考えられてい
るのみで、実現の方途は全く未定である。筆者の未経験な分野として考えても、かな
り複雑な難しい制度の組み合わせになるのではないかと思われる。それ以上に思い浮
かばないのが本音である。国民の全員に近い人々が年金のような国からの支給を受け
ることになるのであろうが、その時の各個人の生活実感が励みや休息の取り方だけを
想像しても、前向きなことは一つも思い浮かばず、逆に悲惨さを感じてしまうと言っ
たら大袈裟だろうか。果たしてそのような社会をユートピアなどと呼べるであろうか。
 コンピューターが通信機能を受け持ち、お互いを繋げ合うものがインターネットで、
様々なモノがコンピューターに接続し、モノ同士がコンピューターを介して繋がるの
がIoTとなり、従来の手段・方法では処理しきれないほどの多種多量のデータを大量に
取り扱うのがビッグデータ。そして、コンピューターを使って人間の知能を人工的に
再現させるのがAIということになる。これらの相互の関係がいかにうまく循環し、運
ぶかがイノベーションが画期的なものとして具体化するか否かを決し、政府の成長戦
略が働きやすいものになれるかを左右し、第4次産業革命の主戦場であるグローバル
市場の競争ということになるのであろう。日本は勝てる市場として、健康、医療、製
造現場、車の自動走行等を考えているようであるが、筆者にはむしろ、既に始まって
いる住宅や車、生活居住の在り方のシェアリングに絡んで、「所有から利用へ」、
「単独から共同へ」と、AIから雇用を奪われない職場、現場の維持確保への協働歩調
とかが、より人間らしく生きるために先ずは基本的な問題として誰彼を問わず最優先
課題として、求められるのではなかろうかと考える。現在新聞紙上で囁かれているプ
ライマリー・フライデー構想(毎月最終の金曜日には遅くとも午後3時には役所や企
業・商店の職場から個人が解放されるようにしようとする目論見)もその一つかもし
れない。思い起こせば、筆者が欧州に駐在していた当時(1977〜1980年)に金曜の午
後にドイツ(当時はまだ西ドイツであった)の会社を訪ねようとしても断られ、電話
を掛けても繋がらず、職場に最低限の留守当番が居るのみという状況であった。詳し
く聞けば、週何時間かの決められた労働時間を大抵の人は週4日働くことで時間割を
作り、木曜までしか働かないということであった。改めて新しい試みは、どういうわ
けかドイツから始まるのだ、と思わずにはいられない。今回の第4次産業革命の発端
も既にその当時に見られたとの思いを強くした。               了
                          2016年12月11日(日) 記