『トップページ履歴』2025年1月〜2025年12月
 
          トップページ 履 歴 一 覧  
2025. 5. 1 生成AIの種類と使い方         会計監査:加藤 邦昭
2025. 4. 1 庭の鳥たち              本部幹事:三好 陽二
2025. 3. 1 巨大設備とミクロの研究         副会長:清水 国明
2025. 2. 1 東京計器と空調事業〜その変遷〜     副会長:三浦 弘幸
2025. 1. 1 新年のご挨拶               会長:八木 宏
 
      『 ト ッ プ ペ ー ジ  履 歴 』
2025. 5. 1
 
    生成AIの種類と使い方      会計監査 加藤 邦昭
 
1.はじめに
 生成AIとは、大量のデータから色々なパターンを学習 会計監査_加藤
会計監査_加藤 邦昭
し、機械学習やDeep Learning(深層学習)の手法を駆
使して、人が作り出すようなテキスト、画像、音楽、動
画などのデジタルコンテンツを自動で生成する技術です。
生成AIにより多様なコンテンツ生成が可能となり、そ
の範囲はクリエイティブな分野だけでなく、ニュース記
事の作成、ゲームの環境設計、さらには広告の制作など、
大変幅広い応用が期待され、実際に使用されつつありま
す。さらに生成AIの技術は、人間の創造する方法を模倣し、拡張することで、ビジネ
スや芸術の新たな世界を切り拓く可能性を秘めています。そんな生成AIの基本概念、
仕組み、そしてその可能性と課題について、紹介します。
 Microsoft「Copilot」を使って生成AIを調べました、その結果を次項に載せました。
 
2.生成AIの種類 (Microsoftの「Copilot」で調べた内容に、少し手を入れた)
 生成AIの各種技術は、その創造力や効率性を活かし、クリエイティブな分野から技
術開発、業務の自動化まで幅広い応用が期待されています。一方で、生成されるコン
テンツの著作権、倫理、信頼性といった課題にも慎重な対応が求められます。例えば、
画像生成AIが著名なアーティストのスタイルを模倣する問題や、テキスト生成AIがフ
ェイクニュースの拡散に利用されるリスクなど、技術進化に伴う社会的・法的な課題
についても議論が進んでいます。これらの議論は、技術の利便性と共にその責任ある
利用方法を考える上で重要な視点となります。この部分は生成AIで処理可能と思われ
ますが、生成AIメーカはユーザの処理範囲にする場合が多い、利用する責任はユーザ
で良いでしょうが・・・、生成AIメーカの中には取り入れているメーカもあります。
(グローバル市場の主要メーカ)  
 世界規模で見ると、OpenAI、Google、Microsoft、Anthropic、Cohere などの大手企
業が世界の先頭に立っています。
・OpenAI は、ChatGPTなどの大規模言語モデルで知られ、テキスト生成や対話システ
ムに革新をもたらしました。
・Google は、LaMDAやImagenなど、テキストだけでなく画像生成分野でも高い技術力
を示しています。
・Microsoft は、OpenAIとの提携を通じて生成AI技術を自社のクラウドサービスやエ
ンタープライズソリューションに組み込むなど、広範な応用を展開中です。
※これらの企業は、単一のツールに留まらず、テキスト、画像、音楽、動画など多様
なデータ形式に対応する生成AIツール群を展開しており、市場における影響力は計り
知れません。そして、それぞれに特化した応用分野があります。以下に主要な種類と
その特徴を紹介します。
(1)テキスト生成AI:自然言語処理の高度な技術を用いて、文章や対話を生成しま
す。例えば、ChatGPTやGPT-4のような大規模言語モデルは、小説、記事、質問応答、
さらには詩や対話システムなど、幅広いテキスト生成に活用されています。これらは、
膨大なテキストデータからパターンや文脈を学習し、ユーザの入力に対して自然な文
章を生成するのが特徴です。
(2)画像生成AI:ディフュージョンモデルやGAN(生成的敵対ネットワーク)を利用
して、テキストのプロンプトやその他の条件から画像やアート作品を生成します。
DALL-E、Stable Diffusion、Midjourneyなどがこの分野で代表的な例です。これらは、
アート、デザイン、広告など、視覚表現が重要な分野で大いに応用されています。
(3)音楽・音声生成AI:音楽生成モデル(たとえばOpenAIのJukeboxやMuseNet)は、
既存の音楽スタイルや構造を学習し、新しい楽曲やサウンドトラックを作る技術です。
また、音声合成技術(Text-to-Speech)は、入力されたテキストから自然な発話音声
を生成し、ナレーションやアシスタント機能として利用されています。
(4)動画生成AI:画像生成の要素を時系列情報に拡張し、連続した映像やアニメー
ションを生成する試みです。まだ実験段階や初期の応用が多いものの、将来的には映
像製作や広告、エンターテインメント分野での活用が期待されています。
(5)3Dモデル生成AI:ゲーム、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などで必要とされ
る3次元オブジェクトやシーンを自動で生成する技術です。これには、ボクセル(3
次元のデジタルデータを表現するための小さな立方体の単位)やポイントクラウド
(コンピュータで扱う点の集合)を利用した深層学習モデルが使われ、3Dデザインの
新たな可能性を広げています。
(6)マルチモーダル生成AI:複数のデータ形式(テキスト、画像、音声など)を統
合してコンテンツを生成するモデルです。例えば、CLIPのようなモデルは、テキスト
と画像の関連性を学習することにより、テキストから直接画像を生成するなど、複合
的な表現活動を実現しています。
(7)コード生成AI:プログラミング言語の文法やパターンを学習し、自然言語での
指示からプログラムコードを生成する技術です。GitHub CopilotやCodexといったモデ
ルは、開発者の作業を補助し、コード自動補完や提案によってプログラミングの効率
を高めています。
(日本国内メーカ)
 日本国内でも生成AIツールに特化した企業が増えており、最新の情報では、生成AI
ツール全体の市場を牽引する主要メーカとして注目される企業が約9社とされる報告
があります。また、広く「生成AI企業」としてみると、国内では約18社から20社が活
動しているとの報告もあり、各社がそれぞれ固有の技術やサービスのアプローチで市
場に挑んでいます。このように、国内市場は大手企業と急成長中のスタートアップが
混在しており、今後も新たな技術や製品が登場することが期待されます。さらに、生
成AIツールは教育、エンターテインメント、ビジネスなど幅広い分野に影響を及ぼし
ており、これらの主要メーカがどのようにアプローチしているかを知ることは、これ
からの技術動向を理解する上でも有益です。
(生成AIメーカと特有の技術について)
 以下に、世界の主要な生成AIメーカをあげ、それぞれが持つ独自の技術やアプロー
チについて説明します。これらの技術は、それぞれの企業が目指す方向性や応用分野
によって特徴付けられ、生成AIの進化と実用化を支えています。
(8)OpenAI:独自技術とアプローチ
・大規模言語モデル(LLM)の開発:OpenAIはChatGPTシリーズを始めとする大規模言
語モデルにより、巨大なテキストデータから「自己教師あり学習」を実施。これによ
り、極めて多様な文章生成や対話が可能になっています。
・RLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback):モデルの出力を人間のフィー
ドバックをもとに微調整することで、生成される回答の品質や倫理性、安全性を向上
させる手法を取り入れています。
・多領域への展開:テキストだけでなく、DALL-E(自然言語の記述からデジタル画像
を生成するOpenAIにより開発された深層学習モデル)による画像生成やコード生成に
も取り組んでおり、クロスモーダル(異なるデータ形式(モダリティ)間で情報を相互
に利用する仕組み)生成能力が強みとなっています。
(9)Google:独自技術とアプローチ
・Transformerアーキテクチャの革新:GoogleはBERTやLaMDA、PaLMといったモデルを
通じて、Transformer(メーカ独自の深層学習モデル)をベースとした深い「自己教師あ
り学習」の技術をさらに進化させています。特に、検索エンジンやクラウドサービス
と連携した情報抽出能力が他と一線を画しています。
・マルチモーダル学習:マルチモーダルとは複数のデータ様式(モダリティ)を統合
して処理する技術や手法、テキストやImagenなどの画像生成モデルにより、テキスト
と画像の連携を実現している点が特徴です。これにより、ユーザの指示を多角的な形
で表現することが可能となります。
・情報の統合とリアルタイム性:Googleの技術は、膨大なデータをリアルタイムで統
合する力にも長けており、ユーザの検索意図やコンテキストに基づいた柔軟な応答生
成が実現されています。
(10)Microsoft:独自技術とアプローチ
・エンタープライズ向け統合 MicrosoftはAzureクラウド基盤を活用し、生成AIモデ
ルを企業向けソリューションに組み込むことで、大規模なシステム連携や業務自動化
を実現しています。これにより、高信頼性かつスケーラブルなサービス提供が可能で
す。
・パートナーシップと実用化:OpenAIとの協業により、ChatGPTやGitHub Copilotとい
ったツールを生み出し、開発者向けのコード自動生成や業務改善ツールとしての応用
が注目されています。
・生産性向上のためのカスタマイズ:多様な業界ニーズに応えるため、ツールやAPI
(Application Programming Interface、ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間
をつなぐインターフェース)の柔軟なカスタマイズ性が評価されており、実用性とユー
ザエクスペリエンスの両立が図られています。
(11)Anthropic:独自技術とアプローチ
・Constitutional AI:Anthropicは、AIの安全性と倫理性に強い重点を置いています。
特に「Constitutional AI」と呼ばれる手法を用い、事前に定めた倫理規範や行動規範
に従ってモデルを自己調整させることで、より安全で予測可能な生成結果を実現して
います。
・透明性と解釈性:出力の理由付けや応答の背景を明確にする試みを進め、ユーザや
開発者がモデルの判断プロセスを理解できるよう努めています。
・安全性のファインチューニング:危険な出力や偏った生成結果を抑止するため、細
かなフィードバックループを組み込むことで、常により安全なAIシステムの実現を模
索しています。
(12)Cohere:独自技術とアプローチ
・エンタープライズ向け最適化:Cohereは、企業が自社のワークフローや業務ニーズ
に合わせて柔軟に利用できる言語モデルの提供に注力しています。API(Application
Programming Interface、ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐイン
ターフェース)ベースでの提供により、シームレスなソリューション統合を実現して
います。
・カスタマイズ性とドメイン特化:業界や用途ごとに最適化されたモデルのファイン
チューニングが可能であり、専門的な知識や特定の言語パターンに合わせた調整が特
徴です。
・効率的な推論プロセス:モデルの軽量化と推論速度の向上に向けた技術改善が進め
られており、実運用でのコスト効率や応答性に強みがあります。
※各メーカは、生成AIの基本技術である大規模なメーカ独自の深層学習モデルの活用
に加え、自社の専門領域に合わせた独自のアプローチを展開しています。これにより、
ツールの性能や安全性、実用性が大きく向上し、企業やユーザの多様な要求に応える
システムが生まれています。さらに、これらの技術は日々進化しており、データの前
処理、モデルのスケーリング(スケーリングとは、データを一定の範囲に変換する処
理で、単位が異なる項目同士を比較したり、モデルに与える影響を正しく補正したり
する)、さらにはマルチモーダル(複数のデータ様式(モダリティ)を統合して処理
する技術や手法)融合といった新たな研究開発が続けられています。たとえば、業界
特有の課題に応じたカスタマイズや、リアルタイムでの情報統合といった取り組みは、
生成AIが今後さらに幅広い分野で活用されるための鍵となるでしょう。これらの各社
の独自技術は、今後の生成AI市場の発展だけでなく、ユーザである企業の業務自動化
やクリエイティブなコンテンツ制作、さらには情報探索のあり方にまで大きな影響を
与えると予想されます。
 
3.Google DeepMind社デミス・ハサビス氏
 Google DeepMind社には2024年にタンパク質構造解析AI(AlphaFold)によりノーベ
ル化学賞を受賞したデミス・ハサビス氏がいます。デミス・ハサビス氏は以前、世界
トップレベルのプロ棋士に勝った、AI囲碁「AlfaGO」の製作で有名です。
 2023年12月6日、ハサビスと一緒にピチャイはバーチャル記者会見で「Gemini 1.0」
を発表しました。同時に「非常に複雑なタスク」向けに設計されたGemini Ultraと
「幅広いタスク」向けに設計されたGemini Pro、そして「オン=デバイス・タスク」用
に設計された、Gemini Nanoの3つのモデルを発表しました。その後、Gemini ProとGem-
ini NanoはBardとPixel 8 Proとしてスマートフォン用にそれぞれ統合されました。
一方Gemini Ultraは「Bard Advanced」を強化し、2024年初めにソフトウェア開発者が
利用可能になっています。
 
4.生成AIは一般の人が使えるようになった
 生成AI(人工知能)は、リアルな人を相手にしているような感覚を与えられます。
米OpenAIの対話型生成AI「ChatGPT」の台頭を皮切りに、米Microsoftの「Copilot」や
米Googleの「Bard」など、一般の人が使用できるような生成AIサービスが続々と登場
しています。Windowsには「Copilot in Windows」と呼ぶ生成AIが組み込まれ、一般の
パソコンの中に設定され、浸透しつつあります。
 以上のような環境で、生成AIは仕事の生産性や生活の質を高めるツールとして注目
されています。そこで、実際に生成AI「Copilot」を実際に使ってみました。次項で
は使用の手順を表しました。
 
5.生成AIを使ってみよう
 Windowsの「Copilot」を使用してみましょう。
 まず、(加藤)PCを立ち上げ「Copilot」を開く。
    (Copilot)応答の選択 
         クイック応答 (選択)クイック応答(2から3秒 日常会話に最適)
         /Thinkdeeper(最大30秒 より複雑なトピックに適している)
    (Copilot)今日はどんなことを考え提案するか
    (加藤)Copilotにメッセージを送る
        クイック応答からThinkDeeperに切り替える
    (加藤)メッセージを送る
     「栄養のバランスが良い1週間の朝・昼・晩のメニューを示してください」
      と尋ねる
     (メッセージには個人情報や社外秘等を使わない。使った場合Copilotに別
      のところで使用される可能性がある)
    (Copilot)以下は、栄養バランスを考慮した1例の1週間のメニュー案です。
        ※このメニューは、1日に必要なエネルギーや栄養素(たんぱく質、
         脂質、炭水化物、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど)をうまく
         組み合わせることを目指していますが、個々人の体格・活動量・
         健康状態に合わせて調整してください。以下はあくまで参考例で
         す。
「月曜日」
〈朝 食〉
・全粒オートミールに豆乳をかけ、バナナのスライスとシナモンをトッピング
・ゆで卵1個
・季節のフルーツ(みかんやリンゴなど)
〈昼 食〉昼食
・玄米ご飯と、グリルした鶏胸肉
・ブロッコリー、にんじん、カボチャなどの温野菜サラダ(オリーブオイルとレモン
 汁のドレッシング)
・味噌汁(豆腐やわかめ入り)
〈夕 食〉
・白身魚(たとえば鯛やスズキなど)の蒸し焼き
・ほうれん草のおひたしや小松菜の和えもの
・雑穀ご飯
・野菜たっぷりの具だくさん味噌汁
「火曜日」
〈朝 食〉
・全粒パンのアボカドトースト(軽く塩、レモンで味付け)
・スクランブルエッグ(オリーブオイル使用)
・トマトスライスとバジルのトッピング
〈昼 食〉
・冷やしそばサラダ(そば、茹でエビ、きゅうり、パプリカ、海藻を梅風味のドレッ
 シングで和える)
・小鉢に季節の漬物
〈夕 食〉
・豚肉の生姜〈昼 食〉
焼き(脂質はトリミングしたお肉で)
・キャベツやもやしの千切りサラダ(ごまドレッシング)
・玄米ご飯
・野菜たっぷりの味噌汁
「水曜日」
〈朝 食〉
・プレーンヨーグルトにミックスベリーとはちみつ
・グラノーラまたは低糖シリアル
・ハーブティー
〈昼 食〉
・鯖の塩焼き定食:
・ご飯(白米や雑穀米)
・味噌汁(大根、豆腐、わかめなど)
・小鉢:ほうれん草のおひたし・ひじきの煮物
〈夕 食〉
・豆腐ハンバーグ(豆腐と挽き肉をブレンド、みじん切り野菜入り)
・スチームしたブロッコリーやカリフラワー
・全粒粉のそばまたはパスタ(オリーブオイルとガーリックでシンプルに)
「木曜日」
〈朝 食〉
・おにぎり2個(梅や昆布の具)
・鳥卵のだし巻き卵
・漬物(たくあんやキムチ)
・みそ汁(具は季節の野菜や豆腐)
〈昼 食〉
・鶏肉と野菜(にんじん、じゃがいも、ピーマン、玉ねぎなど)のカレー
 ライス(ルウは脂質控えめのもの、具沢山で)
・ヨーグルトやサラダを添えて
〈夕 食〉
・鮭の塩焼きまたはホイル焼き
・かぼちゃの煮物
・きのこやほうれん草の炒め物(オリーブオイルとおろしにんにくで香り付け)
・麦ご飯
「金曜日」
〈朝 食〉
・麦入りシリアルと低脂肪ミルク
・フルーツカップ(キウイ、ぶどう、パイナップルなど)
〈昼 食〉
・野菜(トマト、にんじん、ズッキーニ、玉ねぎなど)と豆類を使ったミネストロー
 ネスープ
・付け合わせに全粒パンのトースト(バターは控えめに)
〈夕 食〉
・鶏肉の野菜シチュー(鶏もも肉、じゃがいも、にんじん、セロリ、トマト煮込み)
・雑穀ご飯
・サイドサラダ(葉物野菜、ナッツやシードを散らして)
「土曜日」
〈朝 食〉
・オートミールパンケーキ(全粒粉やオートミールを使用)
・プレーンヨーグルトにベリー類をトッピング
・ほのかなメープルシロップがアクセントに
〈昼 食〉
・全粒粉パスタのサラダ(トマト、オリーブ、ルッコラ、モッツァレラチーズを使い、
 バジルソースで味付け)
・フルーツかカット野菜のスティック
〈夕 食〉
・牛肉の薄切りを、ピーマン、玉ねぎ、ブロッコリーと炒めた野菜炒め
・玄米ご飯または雑穀ご飯
・味噌汁(わかめや豆腐入り)
「日曜日」
〈朝 食〉
・トースト(全粒粉がおすすめ)にゆで卵
・小量の低脂肪ベーコンまたはターキーソーセージ
・ミックスサラダ(レタス、トマト、キュウリ、アボカド)と軽いドレッシング
・フレッシュオレンジジュース
〈昼 食〉
・天ぷら定食:
・海老、野菜(なす、かぼちゃ、ピーマンなど)の天ぷら
・玄米飯
・みそ汁(季節の野菜入り)
・小鉢でほうれん草のお浸しやひじき煮
〈夕 食〉
・魚介類(エビやムール貝等)と野菜(ピーマン、トマト、パプリカ、オリーブ)を
 使ったパエリア風リゾット
・彩り豊かなサラダ(ルッコラ、ミニトマト、パセリ入り)
・デザートに季節のフルーツ
「追加のヒント」
・間 食:ナッツ、ヨーグルト、季節のフルーツ、野菜スティックなどを適度に取り
 入れると、血糖値の急激な上昇を防ぎ、エネルギー補給になります。
・調理法の工夫:毎食、揚げ物や過剰な塩分・砂糖の使用を避け、蒸し・煮る・グリ
 ルするなどのヘルシーな調理法を意識してください。
・多様な食材の摂取:同じメニューに固執せず、季節の野菜や果物、さまざまなタン
 パク源(魚、肉、豆腐、豆類など)を取り入れることで、栄養素の偏りを防げます。
 
 これらのメニューは、バランス良く栄養を摂取するための一例であり、家族の好み
や体調、活動量に合わせて調整してください。さらに、定期的な運動や十分な水分補
給も健康維持に繋がります。このメニューを基に、あなたのライフスタイルに最適な
バリエーションや工夫についても考えてみると、より充実した食生活が実現できるで  
しょう。       
 
(Copilot)次のメッセージ(Copilotからの問いかけ)例を示す。
               ↓
       「特定の食材を使ったレシピを教えて」
 
       「他の健康的な食事法と比べてどう?」
 
       「栄養のバランスが健康に与える影響を教えて」
 
6.生成AIについて
 生成AI技術は、徐々に使い易くなっています。生成AI技術を作るメーカがたくさん
出てきました。もちろん作る側に回っても面白い、また使う側・利用する側になって
も刺激的です。双方共に楽しいと思います。これからは利用する側に立ち有効に使用
し、そのメリットを享受する人が多く出てくると思います。私も大いに利用したいと
思います。
 
2025. 4. 1 庭の鳥たち              本部幹事:三好 陽二
 
       庭の鳥たち               本部幹事 三好 陽二
 
 私の家は町田市の郊外に 庭の鳥たち
庭の鳥たち
本部幹事_三好
本部幹事_三好 陽二
あり、狭いながらも多少緑
のある庭があります。この
庭には暮れから春にかけて
いろいろな野鳥が訪れます。
この冬に現れた鳥たちを紹
介します。
 
              ジョウビタキ
ジョウビタキ(オス) 
ジョウビタキ(オス) 
ジョウビタキ(メス)
ジョウビタキ(メス)
 家庭菜園の畑を耕してい       
るとすぐにどこからかやっ
てきて掘り返した土の中の
虫などを探しています。
 この鳥はオスとメスで様
子がだいぶ違い、オスは黒
と茶色の色合いで、肩のあ
たりに白い紋があります。
昔から農家の方には親しまれている鳥で、そのいでたちからモンツキババッチョと呼
ばれていたようです。また、メスは全体に灰色で目の周りが白く可愛く上品な佇まい
をしています。
 
                メジロ
 メジロは冬の間みかんの切れ端を置いておくと必ずつ メジロ
メジロ
いばみに来ます。目の回りが白くとてもかわいい様相で
すが、かなり気性は荒くミカンなどついばんでいるとき
にもう一羽くると大喧嘩になりどちらかが追い出されて
しまいます。春先になり梅や桜が咲きだすとそちらの花
の蜜のほうが良いのかあまり来なくなります。
 メジロはよい声で鳴くので、私が子供のころはあちこ
ちの家に竹ひごで作った鳥かごがあり飼って(今は野鳥
の捕獲も飼育も禁止ですが・・)鳴き声を楽しんでいるお宅が多かったようです。
 
               ウグイス
ウグイス
ウグイス
 ウグイスはホーホケキョの鳴き声でだれでも知ってい
ますが、冬の間は「ジャッ!ジャッ!」という鳴き方
(地鳴き)で目立たない存在です。その姿もやぶや植え
込みの中を落ち着きなく動き回っているので、なかなか
その姿を見かけません。
 今年我が家では一度だけ植木鉢のあたりをうろついて
いる姿を偶然発見しました。桜の花が咲くころになると
やっと「ホーホケキョ」と上手に鳴いて縄張りを誇示す
るようになります。現にこの原稿を書いている今も裏の崖の藪の中で「ホーホー
ホーケッ」と下手な鳴き方で練習している鳴き声が聞こえてきました。
 
               ヒヨドリ
 ヒヨドリは一年中家の周りをうろうろしている鳥です ヒヨドリ
ヒヨドリ
が、冬場は特に家に近いところで悪さをする嫌われ者で
す。特に家庭菜園をやっている人たちはヒヨドリの食害
に悩まされています。ブロッコリーや野良坊菜の葉はあ
っという間に坊主になってしまいますし、玄関先にきれ
いに実っている真っ赤なナンテンの実まで一晩で無くな
ってしまいます。今もキーィと鳴いて木立と電線の間を
飛び回っています。
 
               エナガ
エナガ
エナガ
 エナガは尾の長い小さな鳥ですが、我が家でも時々
6〜7羽の群れでチチィッと鳴いて木から木へ素早く飛
び回っています。落ち着きがなく素早く動き回るので写
真を撮るのが非常に困難な鳥です。冬の初め頃はシジュ
ウカラやメジロと一緒に10羽以上の群れで(混群と呼ぶ
らしい)移動しているのを見かけます。
 
 
 
               コゲラ
 コゲラは日本にいるキツツキの仲間では最小の鳥で、 コゲラ
コゲラ
スズメより少し大きい鳥です。今年は2回ほど庭に飛来
しました。ジーィと鳴いて百日紅やかつらの小枝に取り
付いて何かを啄ばんでいました。人の気配を感じると素
早く、するっと裏側に隠れてしまいます。
 先日家の裏でカンカン、カンカン金属音がするので近
所で工事でも始まったかと調べると、引き込み線の電柱
の金属支柱に取り付いて夢中でつついているコゲラでし
た。しばらくこの大きな音が続いていました。いったい何をしていたのでしょうか?
 
               シロハラ
シロハラ
シロハラ
 シロハラはツグミの仲間の鳥で胸のあたりの羽が白い
のでこの名が付いたようです。今年はいつも庭に居て落
ち葉をひっかきまわして虫か何かを探しています。割と
警戒心が弱く、人がそばにいても平気でガサガサやって
います。近所の友人の家ではガラスに何かぶつかって、
気絶した鳥が図鑑で調べたらシロハラというやつで半日
ほどしたら目を覚まし飛んで行ったとのことでした。
 我が家には毎年ツグミが現れるのですが、今年はまだ
来ていません。春の渡りの前に顔を見せるかな?
 
                 オナガ
 オナガは名前の通り尾羽が非常に長い割と大柄な鳥で オナガ
オナガ
す。我が家には時々10羽前後の集団でギイーギャーギャー
と鳴きながらやってきます。木の実が好きらしく青木の
実やキンカンの実をくわえて飛んでいきます。見てくれ
は立派ですが声が悪いのが残念な鳥です。
 
 
 
 
                 キジバト
キジバト
キジバト
 キジバトはつがいと思われる2羽で現れます。尾を振
り振りよちよちそこらじゅうを歩き回ってエサを探して
います。なんともユーモラスな仕草で好感が持てます。
先日節分の豆が数個落ちていたのを一気に全部口にほお
ばってのどに詰まったようなしぐさで目を白黒させてい
たのを興味深く観察しました。今は電線に止まってクオー
ックク、クオーッククと鳴いています。
  
 
               シジュウカラ
 シジュウカラは我が家では一番なじみのある鳥で、テ シジュウカラ
シジュウカラ
ラスにピーナッツを砕いて置いておくと2羽がかわるが
わる来てくわえて飛んでいき近くの木の枝に止まって器
用に足で押さえてついばんでいます。巣箱をかけると春
先にせっせせっせとコケや毛糸や羽などを集め巣作りし、
子育てをします。ひなが孵ると2羽でかわるがわる虫を
くわえてひっきりなしに飛んできます。2週間くらいで
巣立つようで、巣立った後は親子の集団でツピッツピッ
と鳴きながらしばらく家の周りをうろうろしています。今年はまだ巣作りの様子はあ
りません。
 このシジュウカラは「僕には鳥の言葉がわかる」という本の執筆者東大准教授鈴木
俊貴博士によれば、古代ギリシャ時代から現代まで、言葉を持つのは人間だけだと決
めつけられてきた。しかしシジュウカラたちは、それが間違いであることを教えてく
れた。
 人間には人間の言葉があるように、とりにはとりのことばがある。とのことで、先
生によるシジュウカラ語を人間語に翻訳した例を紹介します。
  ツツピーツツピー → ここは私の縄張りだ
  ヒヒヒ      → 空にタカがいる
  ピーツピ     → 警戒しろ
  ジャージャー   → ヘビだ
  ヂヂヂヂ     → みんな集まれ
  ピーツピヂヂヂヂ → 警戒して集まれ(組み合わせて文章にしたもの)
 皆さんもシジュウカラを見つけたら是非シジュウカラ語を観察してみてください。
 
2025. 3. 1 巨大設備とミクロの研究         副会長:清水 国明
 
        巨大設備とミクロの研究            副会長 清水 国明
 
 多くの研究者、技術者が憧れ、夢見るのは国を挙げて 清水_副会長
清水_副会長
のビッグプロジェクトに参加することではないでしょう
か。なかでも官民一体で巨額の予算で構築された巨大設
備での研究は、機会があればせめて見学だけでもしたい
ものです。
 巨大設備での研究と言えば、頭に浮かぶのは巨大な円
形加速器を使う素粒子研究です。有名なのはヨーロッパ
アルプスの地下に造られた世界最大の円形加速器「LHC」
です。ここには日米欧など各国から1万人超の研究者が集まって、素粒子の研究に
取り組んでいます。このような巨大な設備を使用して、物質の最小構成単位である
素粒子の性質を調べる。何とも不思議でもあり、ロマンを感じます。
 同じような研究形態は、日本にも無いのか、元技術者の端くれの気概で調べてみ
ました。
 
               カミオカンデ
 岐阜県飛騨市の神岡町の鉱山跡地下1000mに「カミオカンデ」という実験装置が
誕生したのは、1983年のことです。1996年には「スーパーカミオカンデ」が動き始
め、2027年には「ハイパーカミオカンデ」が完成予定となっています。
 
1.何を見つける設備
 当初の目的は、「陽子崩 カミオカンデ内部
カミオカンデ内部
カミオカンデ概要図
カミオカンデ概要図
壊」を観測するためでした。
水の中の陽子が壊れる時に
生じるわずかな光を観測す
るために、カミオカンデで
は、3000トンの水(陽子約
10の23乗個)をたたえた巨
大タンクの内側に1000本の
光センサ(光電子増倍管)を設置しました。陽子の平均寿命は約10の30乗年で、途
方もない長さですが大量の陽子を集めて観察すれば、何年かで崩壊を観測できる可
能性がありました。
 1983年からスタートした実験によって、陽子の崩壊が見つからないことから、陽
子に寿命があるとしても、当初の想定よりもさらに長いことが分かったそうです。
その一方、カミオカンデの性能の高さも実証されたため、当時注目を浴びていた太
陽から来るニュートリノの観測へと方針変更されました。ごくまれでしたが、ニュー
トリノがタンク内の水の粒子にぶつかったときにも、わずかな光が生じるからです。
装置を改造し、本格的な観測が開始されたのは、1987年からです。
 スーパーカミオカンデは、5万トンの水を入れた直径39.3m、高さ41.4mの円筒
形タンクと、その壁に設置された約1万3千本の光センサで造られています。
 
2.ニュートリノとは
ニュートリノ
ニュートリノ
 地球上には、宇宙から宇宙線と呼ばれる粒子が降り注    
いでいます。これらが地球の大気とぶつかるとミュー粒
子や電子、ニュートリノなどが生まれ地上にやってきま
す。このミュー粒子も水の分子とぶつかって光を出すの
で、ニュートリノの観測には邪魔になります。ほとんど
のミュー粒子は、土の中で止まりますがニュートリノは
通り抜けて来ます。地下1000mでは、ミュー粒子は地表
の10万分の1まで減ります。それでニュートリノの観測
が可能になるわけです。
 現在のスーパーカミオカンデでは、太陽から来るニュートリノを一日約15個、地球
の大気でつくられる約10個観測しています。ハイパーカミオカンデは、スーパーカミ
オカンデの約10倍の体積があるので、スーパーカミオカンデで100年かかるデーター
を10年ほどで集めることができるそうです。
 
3.二つのノーベル物理学賞
 1987年2月、ペンシルバニア大学から超新星爆発があったことの知らせが届きまし
た。神岡から東京大学の小柴研究室へ観測データが送られ解析の結果、超新星爆発ニ
ュートリノが観測されていることが確認されました。超新星爆発ニュートリノが降り
注いだ時間は、わずか10秒間だったそうで、いくつもの幸運が重なった結果の偉業と
言われています。世界で初めて超新星爆発からのニュートリノをとらえたこの功績に
よって、小柴 昌俊先生は2002年にノーベル物理学賞を受賞されました。
 
 1998年、東京大学の梶田 隆章教授は大気ニュートリノの観測から、地球の裏側で
作られ長い距離を飛んできたニュートリノの数が、検出器の直ぐ真上から降ってくる
ニュートリノの数に比べて、約半分しかないことを発見しました。さらに2001年には、
太陽ニュートリノ振動を発見し、2011年には、人工ニュートリノによって第3の振動
モードも発見しました。:ニュートリノが飛んでいる間に別の種類のニュートリノに
変身してしまうことを「ニュートリノ振動」といいます。
 ニュートリノに質量がある場合に起こる現象で、ニュートリノ振動の発見は、質量
がゼロではないことの証拠となりました。
 この功績を受けて、梶田先生は2015年にノーベル物理学賞を受賞されました。
 
              ナノテラス
 東北最大の都市、仙台市。市営地下鉄の青葉山駅から     ナノテラス
ナノテラス
東北大の校舎を抜け、10分ほどの場所に巨大施設、次世
代放射光施設「ナノテラス」があります。
 ナノテラスとは、「放射光施設」でナノスケールの世
界まで観察できる巨大な顕微鏡のようなものです。放射
光は、ほぼ光速で直進する電子が、強い磁場によって曲
げられた際に放たれる、指向性の高い光のことで、その
明るさは太陽光の10億倍以上と言われています。物質や
生物、食品などをナノレベル(100万分の1mm)で観察できることから、この名が付
けられました。
 
1.他の放射光施設との比較
放射光
放射光
 放射光施設は国内に10か所あるが、最も名が知られて     
いるのは兵庫県佐用町の「スプリング8」でしょう。探
査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの資
料を分析するなど、1977年の運用開始から四半世紀がた
った今も活躍しています。
 ここで培われた技術で、電子の進行方向を正確に制御
できるようになったため、電子を曲げる蓄積リングの全
長が「スプリング8」の4分の1で済み、製作コストは
3分の1の約380億円に抑えられたそうです。
 
2.何が期待される
 ナノテラスで主に使われる「軟X線」という波長の比較的長い放射光は、スプリン
グ8に使われている波長の短い「硬X線」の100倍の明るさで物質表面の電子の動き
をコマ送り動画のように観察できるそうです。スプリング8が物質の内部の原子の動
きを観察して物質の構造を明らかにするのに比べ、物質の機能が判ることになります。
 新素材や電子製品の開発、創薬、医療、省エネなど幅広い産業への貢献が期待され
ています。
 
3.国際的レベルは
 日本は1990年代、米仏と並び世界の放射光施設の先進地でした。しかし、近年は中
国、韓国、豪州なども最新設備を稼働させてきて、日本の既存設備は競争力を失いつ
つあるのだそうです。ナノテラスの建設に携わった量子科学技術研究開発機構の内海
渉センター長は、「ナノテラスは軟X線領域の性能差を挽回し、世界トップレベルの
施設になる」と野心的見解を述べておられます。
 
 冒頭で述べた世界最大の素粒子研究の国際拠点「欧州合同原子核研究機関(CERN)」
は昨年、ロシアとの研究協力を打ち切ることを決定したそうです。ウクライナ侵攻に
抗議してのことですが、スポーツ界のみならず科学研究文野でもロシアボイコットの
動きが出てきました。しかし、こうした動きがロシア国内の世論に影響を与えるかは
疑問視されています。
 日本の紹介した大規模研究施設に関しては「2番ではダメなんだ!」の気概で世界
のトップを走って、逼塞している産業界を奮い立たせて欲しいと願っています。
 
2025. 2. 1 東京計器と空調事業〜その変遷〜     副会長:三浦 弘幸
 
  東京計器と空調事業〜その変遷〜 副会長   三浦 弘幸
 
 私が東京計器に入社したのは昭和43年である。丁度そ     三浦_副会長
三浦_副会長
の頃に空調の自動制御を生業にする子会社「東京計器エ
ンジニアリング」が設立されたように記憶している。
そして昭和43年当時の日本一の高層ビル「霞が関ビル」
の空調自動制御の仕事を受注したことは社内でニュース
になっていた。私は舶用関連の部署に配属されたため、
この子会社がどんな仕事を主体にしていたのかは、その
頃はよく理解していなかった。
霞が関ビル
霞が関ビル
 この子会社はその後、「東京計器ランディスギア→      
トキメックランディスギア」と社名を変え、スイスの
「ランディス&ギア」社の製品を使用してビル空調の自
動制御を事業の主体にしていた。つまり技術的には東京
計器とは全く無関係で、会社運営に必要な人間数名が東
京計器から出向して、事業を行っている会社であった。
  
 
 
               バブル絶頂期
 私は空調事業とは全く違う事業分野で仕事をし、昭和60年、40歳のときに企画室に
異動になり、事業計画の進捗管理、経営会議の事務局業務などの仕事を担っていた。
 この頃から世の中はいわゆるバブル景気と呼ばれる好景気が始まっていた。銀行は
どんどん金を貸す。ゴルフ場の会員権を買えば、どんどん値上がりする。日本中に新
しいビルがどんどん建設される、そんな時代であった。
 子会社トキメックランディスギアが急激に忙しくなってきた。この子会社の社長で
あった笠井社長も頻繁に本社を訪れ、西村会長、廣野社長と面談をしていた。元々親
会社の体質になじまないといって子会社にした事業である。忙しくなっても親会社に
は対応する部門がなかった。しかしこの忙しさに何とか対応をしなければいけないと
いうことで「トキメックランディスギアをどう支援するか」という議題で年が明けた
二月頃に、常務会が開かれた。私は立場上、事務局としてこの常務会に出席していた。
 冒頭廣野社長は「トキメックランディスギアの事業を親会社が全面的にサポートす
ることにする」と皆に言った。社長の決断に誰も異議を唱えるわけはない。どのよう
に子会社をサポートするかという内容についていろいろ議論をしている中で、私は議
事録を取っていたが、この話は私に来るなと直感した。丁度そんな時に「三浦お前は
企画室に来て何年になった」と廣野社長が私に質問した。「今年の5月で4年になり
ます」。「企画室のようなところは4年もやればよい。お前がトキメックランディス
ギアに行ってこの事業を担当しろ。親会社は何でもサポートするから、何をサポート
すれば良いか、答申を出せ。期限は5月末だ」有無を言わせない社長命令であった。
 
           空調事業強化のための答申
 私は新しいミッションを与えられ、答申案を作るべく、検討に入った。そして4月
になりトキメックランディスギアに出向することになった。
 この頃のトキメックランディスギアの売上高は年間約45〜50億円程度であった。バ
ブル景気になってから急激に売上が伸び、この数年で売上は倍増していた。
 常務会の後、親しい人間には私がトキメックランディスギアに出向することを内々
に伝え、空調事業への支援を依頼していた。子会社に行ってからは、親会社からどん
なサポートが必要かという内容で社員から聞き取りを行った。
 製品開発部門を親会社に設立すること。空調システムの提案業務を充実させるため
の人員の補充、営業部隊の拡充などが主な内容であったが、売上50億円でやっと利益
の出ている会社に、これだけの補強をしては当然利益確保ができない。売上高を倍の
100億にすることは可能かどうか、子会社の社長や現場の幹部社員に聞いたところ、
全員が可能だと言う。そのためには今の倍の受注活動をしなければならない。親会社
のサポート費用を負担し事業として黒字を出すためには売上を伸ばすしか方法はない。
5月に出した答申書は「5年後、売上高100億円」の目標を掲げ、市場分析の説明と
売上高100億円達成の戦略を柱としてまとめた。そして、私の作成した答申案は親会
社の経営会議で議論され、承認された。
 親会社に技術部門が設立され、研究所でもコントローラーや監視装置についての研
究が始まった。子会社の営業や設計部門には親会社から数十名の人員が補充され、
「5年後、売上高100億円」に向かって体制がスタートした。
 
              バブルの崩壊
 私が出向して3年が経った頃、バブル景気もだんだん先行きがおかしくなってきて
いた。受注が思ったように伸びない。売上高はピークの50億円からずっと横ばいであ
る。5年後、売上高100億円達成の目標期限は2年後に迫っている。営業活動の分析
を見ても、これはほぼ絶望的であり、戦略の変更が必要と感じていた。
 会長として残っていた廣野前社長は私を呼び、バブル景気が一変し、思うように受
注が伸びていかないことに対しては理解を示したが、「トキメックビルシステムの赤
字が親会社の重要な経営課題になっている。何とか改善をするように」と私に言った。
 その年の事業計画のヒヤリングで、親会社の森田社長は「3年後、子会社単独黒字、
翌年親会社との連結で、事業としての黒字を達成すること」を指示した。会議の後社
長室に呼ばれた私は森田社長から「私はあなたがトキメックビルシステムに行った時
のことは良く知っている。時代が変わって、計画どおり事業強化が進んでいない。前
期の赤字から続いて、今期、さらに赤字を計上するに至っては、もはや見過ごすこと
は出来ない状況である。ヒヤリングで指示したとおり黒字を達成しなければトキメッ
クビルシステムの存続はない。三浦がトキメックビルシステムの社長になって黒字化
を達成しろ」との指示を受けた。
 トキメックビルシステムに来て4年、バブルの絶頂期からバブルの崩壊という、当
初、まったく予想していなかった事態を迎え、経営の舵取りを大きく変えなければい
けない時期にきていた。今までの経緯から言って、経営再建を託すのは私しかいない
状況であった。私は49歳でトキメックビルシステムの社長になった。
 
          バブル崩壊後の黒字化戦略
前年度の決算は、売上高42億円、経常利益△3億円、親会社との連結での事業損益
は△6億円という惨憺たる結果であった。途方もない数字である。こうすれば黒字に
なるという戦略は、直ぐには出てこない。もがく日々が続いたが、手を付けていかな
ければならない。そしてこの会社のあるべき姿をまず決めて、それを実現する戦略を
立てようと決めた。
 この会社の現状の実力は売上高40億円である。この数字を希望的観測で増やせば楽
であるが、それは現実味がないし無責任である。40億円の売上で、粗利率は30パーセ
ントとして、粗利は12億円である。利益を出すには従業員の数は100人で考えなけれ
ばならない。「売上高40億円、粗利率30パーセントの確保、従業員100名」、この3
つの数字を核にして再建策を考えることにした。
 トキメックビルシステムは、北は札幌から南は福岡まで、東京本社を含めて全国に
12ヶ所の営業拠点があった。私が出向してから4年経ち、社員の働きぶりは把握して
いた。働きぶりが、他の社員の示しにならないのと思われる3名の管理職を退職させ
た。これは会社を改革するぞという私の決意表明であった。そして改革の時には必ず
反旗を翻すものが出てくる。古株のプロパー社員の何人かが退職していった。
 私は、今回の再建の中で一つの決心をしていた。下請けと元請けの関係で色々なお
金が動く業界である。健全経営のためにはこれらの癒着を払拭する必要があると考え
た。事業計画で予算を組んでも、いつも大幅に予算をオーバーするのが交際費と遠距
離出張費の2つの費目であった。この件も毎年問題にしていながら、適切な手を打て
ていなかった。私は全社に交際費と遠距離出張費は全て事前の社長決済を義務付ける
ことにした。FAXで事前申請し、私がサインしてFAXで送り返す。私がいない場合は経
理部長が代行する。営業の社員から猛反発があった。「急に決まる場合もある」「昼
食のような小額の場合は事前申請出来ない」など。しかし、すべて特例は認めず、急
な場合は事後申請を認め、私のサインがないものは、経理は支払わない、というルー
ルを決め実行した。後日談であるが、私は申請してきたものは全て承認し、一件たり
とも否認しなかった。年度が終わってみると、今まで全く管理できていない経費であ
ったが、予算内に収まったのである。管理とは、とやかく言うことではない。こうい
うことなのである。しかし大仕事はこれからであった。
 
              大阪単身赴任
 子会社の売上は40億円規模で、平均粗利益率は30パー   大阪市役所
大阪市役所
セントであった。しかし、以前から、大阪営業所の粗利
益は極端に少なかった。率にして18パーセントくらいで
ある。前社長も、前々社長もその理由を追及していたが、
結局は受注した物件の指値がきついとか、工事で思いの
ほか原価がかかったとかという理由を並べるだけであっ
た。私はここには大阪営業所特有の事情があると感じて
いた。社長の立場であったが、大阪営業所の利益率の悪
さを改善するために、大阪に単身赴任することを決めた。社長の立場もあり、長い時
間はかけられないが、最長でも1年で目処をつけるつもりで大阪に赴任した。
 4月、新年度になり、大阪営業所に赴任し、皆に挨拶した。「皆さんと一緒に仕事
をしに来ました。皆さんが一生懸命仕事してくれているのに、大阪営業所の利益率は
全社で一番悪い。みんなの努力の結果を自慢できるようにしたいと思っています」。
次に、管理職を集めて話をした。「昨日までのことは一切問いません。今日から私に
協力してください。私が、社長という立場でありながら、大阪営業所に赴任した理由
は大阪営業所の粗利率の改善が全社の最重要テーマになっているからです。今まで、
何年も改善されていないのは何か理由があると思っています。こうすれば良いという
仕掛けが作れればそれが最高です。粗利率が改善したら、私は本社に戻ります」。ま
ず手始めに大阪営業所が担当している物件、一つ一つの粗利を調べ、原価率の悪い物
件については理由を聞いた。そして所員全員と話をした。仕事が終わると、毎日、居
酒屋に行き、愚痴を聞いた。段々と大阪営業所の管理不在の状態が浮き彫りにされて
きた。
 大阪営業所に常駐している外注業者10名分として請求してくる人件費・経費の合計
が、年間で1億円を越えている。当社、社員1人当たりの平均の人件費・経費と同等
である。家賃も、通信費などの事務所経費も当社が負担しているのに、この額はべら
ぼうである。この業者の社長を除く社員の平均年齢は20代である。毎月の請求書に明
細がついていない。まったくの管理不在であった。
 外注業者との間では契約書によって、各人の仕事のレートや外出・出張の条件も決
まっている。どう考えてもこんな金額にはならない。この外注を担当する管理職と相
談し仕掛けを考え、外注の社員には毎日、一日ごとの経費がわかる日報を書いて提出
してもらうことにし、月末にそれを計算して、月ごとの支払いをこちらから連絡する
ことにした。こんな当たり前のことが実践されていなかっただけの話で、当たり前の
管理をすることに変更しただけの話である。一件落着である。大阪営業所の利益は大
幅に改善した。そして、その後、この方法は、全社に実行させ、会社全体でも大幅に
利益改善が実現できた。大阪営業所の粗利率はかつて18パーセントであったが、なん
と7ポイントも改善し、25パーセントを達成した。利益改善が実現し、所員の顔に笑
顔が出てきた。私は大阪営業所単身赴任の目的を達し半年後に本社に戻った。
 
             黒字達成への布石
 黒字達成のための具体案は決まった「これを全て実行すれば、絶対黒字になる」最
後にはそこまでの自信があった。一番大切なことは、この全てを実行することである。
当然具体案の中心は人員減であったが、営業の人員だけは極力いじらないことにして
いた。受注が減って40億円の売上が達成できなくなったらこの計画は成り立たない。
当初、東京計器が製品開発、製造を担当することで新たな体制を構築したが、これを
止め、開発、製造、メンテナンスといった業務を一括、親しい協力会社に依頼するこ
とにした。これらの施策に森田社長にも賛成して頂き、一つ一つ実行していった。申
し訳ないのは、5年前に私が作った先行投資計画で子会社に来てくれた人たちであっ
た。一人一人と話し、親会社に戻ることを了解してもらった。トキメックビルシステ
ムの社員は親会社からの出向者を含めて100人に絞り、親会社に設置していたサポー
ト部隊は解体し、他の組織に吸収されることになった。
 社長に就任して2年目になっていた。最初の1年間は試行錯誤の1年であったが、
改革の具体案を決めることができ、2年目に入って、それを実行することにした。
「3年後、子会社単独黒字、翌年親会社との連結で事業としての黒字の達成をするこ
と」の指示を1年早めることが可能となり、2年後には事業として黒字化する目途が
立った。
 
           目標より1年早く黒字を達成
 改革に着手した1年目の上期はまだ改革の効果が顕著ではなかったが、下期には少
しずつ効果が出始めていて下期単独の黒字化が可能と判断できた。そして下期の着地
予想について、全営業所に指示を出した。「全営業所を回った結果、今年度の下期の
黒字化が可能であると判断している。通期では残念ながらまだ赤字であるが、下期を
黒字にすることで来年以降に弾みをつけよう。下期の利益が私と約束した目標を上回
ったら、上回った分の10パーセントを営業所に報奨金として配布することを約束する
ので、目標を上回るように頑張って欲しい」。これまでやろうとしてもどうしても出
来なかったインセンティブ給を、この下期に限って導入することにした。もし目標利
益を500万円上回れば90パーセントの450万円を会社の利益に計上し、10パーセントの
50万円をインセンティブとして社員に配布することになる。もともと固い事業をして
いた親会社ではインセンティブ給が話題になったことはあったが、これまで導入した
ことはなかった。インセンティブ給の導入は子会社を含めたグループ全体で初めての
ことであった。その翌年、社長就任以来3期目、苦節3年にして黒字事業となった。
親会社の指示よりも1年早い黒字化の達成であった。この間、一度も社員に大声を出
したことはない。方針を決めるまではかなり悩んだが、これを全てやれば黒字になる
と思っていたので、みんなと一緒になって、真剣に業務改革に取り組んでいった結果
であった。
 後で知ったことであるが、この子会社改革の前は、親会社からの出向者の人件費の
1/2は親会社が負担していたそうである。理由は、親会社の都合で、子会社に出向
を受けさせていたからという理由とのことであった。この年の黒字は出向者の人件費
の親会社負担ゼロでの達成である。長年この事業の経緯に詳しい親会社の経理部の部
長は言った。「今回の黒字は今まで誰も成し得なかったことを実現したのですよ」。
 
              親会社の危機
 ランディスギアとの提携は解消され、社名は「トキメックビルシステム」に変更さ
れていた。トキメックビルシステムが黒字化を達成し、数年経った頃、親会社に不祥
事が発生した。親会社は経営の危機に直面し、希望退職者を募ることになった。
 トキメックビルシステムの社長であった私はこの子会社を守るためにどうすればい
いか真剣に考えなければならない状況になった。トキメックビルシステムの社員には
影響が及ばないようにしなければならない。それが社長としての責任だと考えた私は、
親会社の社長を訪ね、「トキメックビルシステムは何とか黒字経営を続けています。
私が今までお付き合いのあった会社に当社の譲渡を打診したいと思っています。ご許
可をいただければ私が先方に打診してまいります」と、申し入れた。その後1年が経
過し、企業譲渡の話は現実となり、空調の事業は松下電工に譲渡されることになった。
 バブル経済、バブル崩壊と経済の大変動に翻弄された会社運営であったが、空調事
業はこのような変遷をたどって、東京計器から他の会社に譲渡されていくことになっ
た。
 後日談であるが、本社企画室で上司だった新免さんとお会いしたときに、新免さん
は私に言った。「バブル景気という一時の状況はありましたが、親会社にシーズの無
い空調事業をどこに譲渡するかということはずっと東京計器の経営課題だったのです
よ」。
 
2025. 1. 1 新年のご挨拶               会長:八木 宏
 
 新年のご挨拶           OB会 会長 八木 宏 
 

          明けましておめでとうございます。
 会員の皆様におかれましては、ご家族ともども良いお年をお迎えになられたことと
お慶び申し上げます。
 昨年は元旦早々の能登半島地震により甚大な災害が発生しましたが、今年は大きな
地震や風水害などがないことを切に祈っています。ほかにも国内にさまざまな課題が
ありますが一つ一つ解決できるものと信じています。しかし世界的には宗教や民族の
対立による争い、領土や資源の奪い合い、独裁政権への不満に対する内戦など紛争が
絶えません。どれも簡単に解決できそうにない問題ばかりですが、今年は世界中が少
しでも明るい方向に変化していくことを願ってやみません。
 
 さて、東京計器OB会は昭和51年(1976)12月5日に
平和島温泉会館で鈴木重徳会長を初め38名の参加で発足
いたしました。また早くも翌年の昭和52年4月には会報
創刊号が発行されています。
 さらに平成17年(2005)10月1日にはトキメック(東
京計器)本社で30周年記念総会が開催され、この日に開
始されたOB会ホームページの紹介とデモも行われまし
た。このホームページの「話題」欄の「トップページ履
歴」をクリックし2005.10.1まで溯ると黒石会長による「ホームページ開設にあたり」
という記事があります。その中で黒石会長はホームページに関して、二つのお願いを

しておられます。一つは「参加していただくこと」もう
一つは「輪を広げていただくこと」です。改めてこの言
葉をかみしめたいと思います。
 今年秋(10月4日)には東京計器本社をお借りして、
第50回記念のOB会総会を開催しようと準備を進めてお
ります。栃木3支部からもバスをチャーターして多数参
加していただけるようにいたします。総会についても
黒石会長の言葉は当てはまるものと思います。ぜひ楽し
い会にいたしましょう。
 末筆になりましたが、今年も本部・支部幹事一同で努力してまいりますので、皆様
のご支援を賜りますようお願いいたします。