“工芸創作盆栽”に挑戦して25年      大月 光代(旧姓;佐藤)
       最大の感激は「内閣総理大臣賞」受賞
 
内閣総理大臣賞をいただいた全国工芸創作盆栽展会場にて
内閣総理大臣賞をいただいた全国工芸創作盆栽展会場にて
 工芸創作盆栽(以下、工芸盆栽という)を始めて25年
になります。
 “工芸盆栽”、あまり皆様には馴染みのない言葉かと
思いますが、一口で言えば「生きた本物を見本に花・葉・
枝・幹・土など、総てを自分なりの創造を含めて、材料
を選択し作品を仕上る」と言うことでしょうか。
 毎年、西武デパートで200坪の会場を借り切っての、
全国から学院の“師範の方々の作品”の展覧会が開催さ
れ、それはそれは師範の力作だけあって見事なものでした。
 平成3年開催の第20回展覧会に於いて、並居る諸先輩の師範の方々を差し置いて、
私の作品“黒松”が最高の栄誉であります「内閣総理大臣賞(海部俊樹総理)」を
頂戴し、私にとっては最大の感激でした。
 この作品の“黒松”は、松葉1本、1本を組み合わせ、一つの松を作るのに百万本以
上の松葉(極細い針金にグリーンの樹脂加工したもの)を組み合わせるという、大変
根気のいる作業です。この“黒松”の「葉」を組み立てるだけで、10ヵ月以上も費や
しました。そして枝組みをし、実物の樹木と同じような幹肌、根張りを出しながら
樹齢を出し、本物の盆栽と同じに生命感を感じる作品に仕上げて行きます。
 
 この受賞した“黒松”は、昨年のOB会30周年記念総会時の「趣味の作品展」に
出品させて戴きましたが、実物をご覧頂いた先輩の皆様の中には、本物(生きた)の
盆栽と間違われた方もおられたようです。「ミッちゃんは、若いのに?盆栽作り!」
とのご発言、また葉を手で触れて、「これ針金だよ!」とビックリされたり、本当は
作品に直接手を触れてもらいたくないのですが・・・・でもチョット嬉しい場面でも
ありました。
 
 東洋錦の“木瓜(ボケ)”の盆栽を作る時も、本物の木瓜の花を買ってきまして、
花をモデルに一生懸命制作いたしましたが、なかなか同じような花ができずイライラ
・・・でも生花に「もう少し頑張ってね!」と言いつつ花を作りました。そして、
これだ!この色だ!この型だ!と思う花が出来上がりました。翌日には、10日間位
頑張ってくれていました東洋錦の花はウソみたいに全部枯れてしまいました。
私の作成した花が本物の生命を奪ってしまったように・・・・・。
 
 黒松の右側に“黄色いラン”が並んでいる作品は、平成 ご自宅はきれいな花で一杯でした
ご自宅はきれいな花で一杯でした
2年の世界ラン博覧会で最優秀賞を受賞した“ラン”を
写真に撮り、翌年作成したものです。この作品は協会会長
さんが大変気に入れられ、展覧会終了後、即「没収?」
されてしまいました。
 展覧会用に作成した盆栽は会場に合わせた大作ばかり
なので、家には全部置けず、ゴルフ場の受付などに寄贈
したりしました。
 
 現在は、学院もやめ、小さな草花の作品を主体に工芸盆栽を楽しんでおります。